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米国CIMS 「マザー・フレンドリー産院の10カ条」 資料集

米国 CIMS http://www.motherfriendly.org.

マザー・フレンドリー産院の10カ条

 ついに開始! マザーフレンドリー産院の認定

アメリカの主立った出産関連団体が集まっている連合体CIMS(キムズと読む・Coalition for Improving Maternity Services妊娠・出産サービスを改善する連合)は、1996年に「マザー・フレンドリー・チャイルドバース・イニシアティブ」を提唱しました。

 これは、「マザー・フレンドリーな=おかあさんに優しい」病産院、助産院、自宅出産サービスについて10の条件を掲げ、それを十分に満たした産院をマザー・フレンドリー産院に認定して公表するというキャンペーンです。

 ユニセフとWHOは、母乳育児のための10カ条を提唱し、実施できている産院を「ベビー・フレンドリー・ホスピタル」に認定して母乳育児を推進していますが、マザー・フレンドリー・チャイルドバース・イニシアティブはそれをヒントにしています。

 2002年3月、CIMS役員であるロビー・ディビス・フロイトさんは、日本助産学会で来日した際、初の認定産院が2カ所出たことを報告してくれました。記念すべき、マザー・フレンドリー産院認定制度の出発です。ひとつは地域病院で、もうひとつは自宅出産サービスでした。立候補していて、審査中の産院はまだたくさんあるそうです。

 アメリカで、認定開始はこれからどんな影響を持っていくのでしょうか。また、日本でも「日本の産院も認定して欲しい」という医療者が出てきています(残念ながら、CIMSはまだ海外まで手が回らないようですが)今後の展開に注目していきたいと思います。 (河合)

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マザー・フレンドリー産院のための10カ条
CIMSの「おかあさんが産む前にしたい10の質問」 
CIMS ロバータ・スカーさんインタビュー  
「マザー・フレンドリー・ホスピタルの10カ条 アメリカで、お産団体が統一キャンペーン―来日したロバータ・スカーさんに聞く」 REBORN第20号(1988/7)より転載

印は、CIMSのホームページhttp://www.motherfriendly.org.を、許可を得て翻訳したものであり、第8回「いいお産の日in 東京」シンポジウム「マザー・フレンドリー・ホスピタルを目指せ!−米国CIMSの基準をめぐって」で配布した資料の転載です(若干、語句の変更をしています)。

この資料集は、翻訳、CIMSとの連絡などで永田芳枝さんに多大なご協力をいただきました。

 

 

 

マザー・フレンドリー産院(病院、助産院、自宅出産)のための10ヵ条

Ten Steps of the Mother-Friendly Childbirth Initiative
for Mother-Friendly Hospitals, Birth Centers, and Home Birth Services

「お母さんに優しい」施設の称号を得るためには、次の10カ条の条件をすべて満たすことが必要です。お母さんに優しい病院、バースセンター、助産院、家庭出産は....

1条 立ち会い者の自由
すべての出産する母親に次を知らせる

●お母さんが選んだ出産時の付き添いを無制限に認めること(父親、パートナー、子ども、その他の家族、友人を含む)
●精神的、肉体的な援助を行う事のできる熟練した女性の付き添いを無制限に認めること 例:ドゥーラ...出産を介護する専門家
●専門の助産婦のケアを受けること


2条 産院情報の公開
出産ケアにおける診療や処置に関して、経過や結果を含め,正確に記述した統計上の情報を公に提供すること。


3条 民族や信仰の信念、価値観、慣習の尊重
母親の人種や宗教による独特の信条、価値観そして習慣に対してきめこまやかに対応し、それに対して文化的に十分なケアを提供すること。


4条 出産中の行動と姿勢の自由
出産する女性が自由に歩いたり動きまわったりする自由を与え、陣痛・分娩時にその女性の選択に応じた体位をとる事ができるようにし(合併症を治すために特に制限されない限り)、砕石位(足をあげて仰向けに寝る)はとらせないようにすること。


5条 地域との連携−搬送及び地域のサポート・グループについて
次のことについてポリシーと手順を明確に定める
●周産期において継続的にほかの施設と連携し、意見を聞くこと。ある場所から他の施設に搬送が必要になったとき、もとの施設の介助者とコミュニケーションを取ることも含む。
●母親と赤ちゃんの産前、産後、そして母乳育児の支援のために、地域の適当な相談窓口をそれぞれ紹介すること。


6条 不必要な医療行為の制限
科学的な証拠に基づいていない常軌的医療介入行為(ルーティンワーク)を行わない。
(次のものを含むがこの限りではない。)

●剃毛
●浣腸
●点滴
●絶食
●早期人工破膜
●電子分娩監視装置の使用など


その他の医療行為の介入についても次のように制限する。
●分娩誘発の率を10%以下にする。
●会陰切開、和痛分娩の割合を当初目標20%以下、最終目標5%以下にする。
●地域の病院を合わせて、地域での帝王切開率を10%以下にする。ただし高リスク出産を扱う施設では15%以下とする。
●帝王切開後の経膣分娩(VBAC)の割合を、当初目標60%以上、最終目標75%以上にする。


7条 薬によらない痛みの緩和
薬を使わないで陣痛の痛みを逃がす方法をスタッフに教育する。合併症を治すために特に必要でない限り、鎮痛剤や麻酔薬の使用をすすめることはしない。


8条 母子と家族の絆形成の尊重
すべての母親とその家族に、触って、抱いて、母乳育児をして、世話をすることが自分たちの生活と両立してできるように励まし、援助していくこと。生まれた赤ちゃんが病気だったり、未熟児であったり、先天的な問題を持っていた場合も同様である。


9条 割礼をしない
新生児に対して宗教的な理由以外の割礼をしないようにすすめること。


10条 母乳育児の推進
WHO-UNICEF共同宣言の「母乳育児を推進し成功させるための赤ちゃんに優しい病院の10カ条」を達成するように努力していくこと。

 


◆写真撮影(上から) Sondra Bardsley / Suzanne Arms / Kip Kozolowski / Faith Gibson
すべてCIMSのプロモーション・スライドに使われているものです。

著作権はCIMS所有です。  
CIMSlamaze@dc.sba.com
Lamaze International 内  1200 19th Street, NW, Suite 300 Washington, DC 20036-2422 USA

この日本語訳は、学会や出産準備教室の資料、会報などへの転載を歓迎します。ただし、事前にREBORNへお知らせ下さい。 REBORN reborn@web-reborn.com 

◆日本語訳:永田芳枝、河合 蘭 


 

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