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米国CIMS 「マザー・フレンドリー産院の10カ条」 資料集

 

CIMSが提案する
「産む前に聞いておきたい10の質問」

訳・永田芳枝

 

赤ちゃんが生まれるの?
聞いておきたい10の質問

Having a baby?  
Ten Questions to Ask

photo by Peter Gonzales l


あなたはどのようにお産をするか決めましたか? 
選ぶのは、あなたですよ!

 最初に、出産するときにどんな選択肢があるのかをできる限りたくさん知っておきましょう。お産(分娩)が始まってから赤ちゃんが誕生するまでの間に、お母さんと赤ちゃんのお世話をする方法にはいろいろな方法があります。お母さんと赤ちゃんのためにより良い、より健康的なお産のケアは、「マザーフレンドリー=お母さんに優しいケアTM」と呼ばれます。施設によっては、他よりも「お母さんに優しいTM」やり方でしています。

 お産の専門家のグループが集まり、お母さんのための「10の質問集」というリストを作りました。医学の研究がこの質問のすべてを裏付けています。そして、この質問をかなえることが「お母さんに優しい」産院になる最も良い方法です。「どこで赤ちゃんを産もうかしら」と考える時、おそらく「助産院 ?バースセンター? 病院あるいは医院 ? 自宅出産?」と、先ずは場所から選んでいるでしょう。しかし、ここに、あなたが自分の出産体験に期待すべきこと、求めるべきことがあります。あなたと赤ちゃんのお世話をする人々がどのように10の問題に対処するか必ず確かめておきましょう。これはあなたが、お産についてもっと学ぶためにも良いことです。

1.「お産が始まってから赤ちゃんが生まれるまでの間、誰が私と一緒にいられますか?」

「お母さんに優しい」助産院、バースセンター、病院、診療所、自宅出産サービスなら、お産(分娩)が始まってから赤ちゃんが生まれるまでの間、お母さんのそばに居てほしい人を、母親自身に決めさせるでしょう。これは父親、パートナー、子供たち、他の家族メンバー、あるいは友人たちの立会いを含みます。「お母さんに優しい」ところでは、同時に、お産をうまくやりとげることを手伝
う、特別な技術と智恵を持つ人をつきそわせるようにするでしょう。この人はドゥーラあるいは分娩サポート人と呼ばれる人です。この女性は決して母親を1人のままにしておきません。この女性は母親を励まして、慰めて、何が起きているかを母親が理解するのを手伝います。出産する母親が望むなら、助産婦と一緒にいることができるように、「お母さんに優しい」施設やサービスの場合には、スタッフの中に助産婦がいるでしょう。

2.「ここでは、皆さんがどんなお産をされますか?」


 もしその施設やサービスが「お母さんに優しいケアTM」を提供するなら、彼らはあなたにお産の始まるときに起こるそれぞれの処置を説明するでしょう。例えば、その施設ではどれぐらいの頻度で出生を速めるために母親に薬を与えているでしょうか?あるいは、そのお産自身の持つタイミングでお産になるようにさせているでしょうか?その施設はどれぐらいの頻度である特定の処置をするでしょうか?たとえば施設は年度別に帝王切開手術の割合の記録を持っているでしょう。もしその数があまりにも高いなら、あなたは別の場所で、あるいは別の医者と、あるいは助産婦と一緒に赤ちゃんを産みたくなるでしょう。ここにCIMSがあなたに尋ねるように勧める若干の数値があります。

10人の女性たちのうち1人以上(10%)の分娩を人為的に開始させようとするべきではありません。
5人の女性たちのうち1人以上(20%)に会陰切開をするべきではありません。(会陰切開の数を減らそうとしているべきです。(会陰切開とは出生のために腟を大きく開く目的で行う切開です。それはたいてい必要ではありません)
もし総合病院であるなら10人の女性たちのうち1人(10%)以上に帝王切開手術をするべきではありません。お産で危険性の高い母親と赤ちゃんを収容する総合病院においても、15%かそれ以下であるべきです。(帝王切開術は医者が腹部を切開し、胃の横を通って子宮を切り開いて赤ちゃんを取り出す大きな手術です)
帝王切開手術をした母親は将来、正常に赤ちゃんを産むことができます。帝王切開手術をした母親10のうち6人(60%)が産道を通して次の赤ちゃんを出産できる施設を探してください。(帝王切開後経膣分娩:VBACと呼ばれています)

3.「母親の文化と信念における相違を考慮に入れますか?」


 お母さんに優しいバースセンター、病院と自宅出産サービスは母親の文化に敏感です。「お母さんに優しい」産院は母親と家族が異なった信念、価値感と習慣を持っていることを知っています。例えば、ある母親はお産が始まって赤ちゃんが生まれる間には、女性だけが母親のそばに居るという習慣を持っているかもしれません。出生の後に行う宗教的な儀式をすることを含みます。
 あなたにとって非常に重要であるかもしれない例は他にたくさんあります。もしその場所と人々がお母さんに優しい産院であるなら、あなたがしたいと望むことをする時、あなたを支援するでしょう。お産が始まる前に、あなたの医者あるいは助産婦にあなたがしたいと思っている特別なことを話しておいてください。

4.「私はお産の間に歩いたり、動き回ることができますか?あなたは、誕生のその時にどの体位(ポジション)を勧めますか?」


 お母さんに優しい産院では、あなたはお産の間中ずっと歩き回れるし、自分で選択しながら動き回ることができます。あなたは陣痛の間とそれから、赤ちゃんが生まれるときにも一番快適で効率が良い姿勢を選ぶことができます。(ただし、あなたがある体位(ポジション)をとる医学的理由があるかもしれません)。お母さんに優しい産院では背中を床面につけて足を上げさせ固定するような分娩に適さない体位をとらせることはまずありません。

5.「私のお産のときに、看護婦、医者、助産婦、あるいはエージェンシーが、協力して働く必要があるとき、すべてがスムーズに行くことをどうやって確認しますか?」


 「もし私がお産の途中で別の病院に移る必要が起きたら、医師または助産婦が私と一緒に来ることができますか?」と聞いてください。私がお産になる前と生まれた後、私を助けてくれる地域の専門家の人々や行政窓口を見つけるのを手伝ってくださいますか?」。と聞いてください。お母さんに優しい産院とそこの人々ならば、母親と赤ちゃんのケアをする他の人々と連絡をとり続ける特定の方法を知っています。そして、あなたにお産のケアを提供する他の人たちと話をするでしょう。また、あなたが地域で手助けしてくれる専門家や行政窓口を見つけるのを手伝うでしょう。例えば、母乳育児に関するサポートをする誰かと連絡を取れるようにするかもしれません。

6.「お産になったら慣例としてどんな処置をしますか?」

 お産に熟練した専門家はケアのやり方の中には、他より良く健全なものがある、と言います。医学的研究はどの方法がより良くより健全であるかを示しています。「お母さんに優しい」産院では、科学的な証拠によって最も良いことを証明された方法だけを使います。時々、バースセンター、病院、自宅出産サービスなどが、母親あるいは赤ちゃんに最も良いということを証明されていない方法を使うことがあります。例えば、医学的研究では、人工的に赤ちゃんの包んでいる袋を破いて羊水を出すこと(人工破膜)は、通常お産の助けにならないことを示しました。ここに我々があなたに推薦する質問のリストがあります。以下にあげることをしても、それはお産の役に立たず、健康な母親と赤ちゃんを傷つけるかもしれません。それは母親や赤ちゃんに最も良いとは証明されず、「お母さんに優しい」産院ではありません。

分娩監視装置とよばれる器械でずっと赤ちゃんの心音を追跡するべきではありません。 (代わりにあなたの看護婦あるいは助産婦が時折赤ちゃんの心音を聞くようにするのが最も良いです。)
陣痛の初期に赤ちゃんを包んでいる袋を破いて羊水を出すべきではありません。
IV (点滴で液体を入れるため静脈に針をいれること)をするべきではありません。
お産の間、食べたり、飲んだりできないと言うべきではありません。
剃毛をすべきではありません。
浣腸をするべきではありません。

 ほとんどの母親にこれらのことをする病院、助産院あるいは自宅出産サービスは「お母さんに優しい」施設ではありません。これらは特別な医学的理由なしで行われるべきではないことを覚えておいてください。

7.「私ができるだけ快適な状態でいられるように、どのように助けていただけますか?」
  「薬以外の方法で、どうやってお産の痛みを和らげるのを手伝ってもらえますか?」

 あなたの世話をする人々はあなたが陣痛にうまく対処するようどのように手伝うべきかよく知っておくべきです。そして薬を使わないであなたの痛みを逃す方法について知るべきです。あなたの体位(ポジション)を変えて、温かい入浴でリラックスして、マッサージをして、そして音楽を使う・・などをして、痛みを逃すようにお母さんに提案するべきです。これらのことは「安楽の方法 (コンフォート・メジャーcomfort measures)」と呼ばれています。「安楽の方法」は、より楽にあなたが陣痛を乗りきって、そしてあなたがお産をよりコントロールできるように感じるのを助けてくれます。あなたが特別な医学的問題を持っていないなら、あなたの世話をする人々は痛みのために薬を使うよう説得しようとはしないでしょう。すべての薬は赤ちゃんに影響を与えます。

8.「もしも、私の赤ちゃんが早く生まれたり、あるいは特別な問題を持っていたら、どうしますか?」

 「お母さんに優しい」産院と人々なら、母親と家族には、赤ちゃんに触って、抱っこして、母乳で育てて、できるだけ赤ちゃんの世話をするようすすめるでしょう。たとえあなたの赤ちゃんが早く生まれたり、あるいは出生において医学的問題を持っていたとしても、その人たちはこれらのことをするように励ますでしょう。(しかしながら、赤ちゃんを抱いて、世話をすることができないような特別な医学的理由があるかもしれません)

9.「男の子に割礼をしますか?」


 医学的研究では、男の赤ちゃんのペニスの包皮を切除する必要は示されていません。割礼は痛くて、さらに危険です。宗教的な理由がないかぎり、「お母さんに優しいお産のケア」では割礼を勧めていません。

10.「母乳で育てたいとき、どんな援助をしてくださいますか?」


 WHO(世界保健機構)は、出産施設が母乳育児をサポートする方法を示すリストを作っています。

すべての妊娠している母親に、なぜ、どうやって母乳で育てるべきか伝えます。
赤ちゃんが生まれて1時間以内にあなたが母乳育児を始めるのを助けます。
あなたにどのように母乳で育てるべきか示します。
そしてたとえあなたが仕事か、他の理由であなたの赤ちゃんから離れていなければならないとしても、あなたが母乳を充分出せる状態にするよう教えます。
新生児は母乳だけを飲むべきです。(しかしながら、すぐに母乳育児ができない医学的理由があるかもしれません)。
赤ちゃんにやさしい病院の医療者は、あなたと赤ちゃんが1日中、そして一晩中ずっと一緒にいるよう勧めています。これは「母子同室」と呼ばれます。
時間決めで授乳するのではなく、赤ちゃんが欲しがったらいつでも授乳するよう奨励します。
母乳を飲ませる赤ちゃんにおしゃぶり(「乳首模造品」あるいは「はがため」など)を与えるべきではありません。
母乳で育てる母親のグループに参加するよう勧めます。どうやって近所のグループとコンタクトを取るかを教えます。
母乳育児に関する産院の方針を書面で明らかにしています。すべてのスタッフたちはその方針に沿ったアイディアを知っており、実践します。スタッフたちに、これらのステップを実行するために必要な技術を教育します。

(訳注:ユニセフ・WHOの「母乳育児推進のための10か条」と同じものですが、アメリカと日本では条文の順などが異なります)


この日本語訳は、学会や出産準備教室の資料、会報などへの転載を歓迎します。ただし必ず、事前にREBORNへお知らせ下さい。 REBORN reborn@web-reborn.com 

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