その2 バカンス編
三宅はつえ
その1にも書いたが、我が家は通常「別居家族」。せめて夏休みくらいは家族で過ごそうと、毎夏スペインにやってくる。というわけで、今、マドリードの自宅でキーボードをカチャカチャしているところ。便利になったもので、バカンス先まで仕事は追ってくる。最近のリゾートホテルはテレビはなくても、インターネットができるモジュラーを備え付けているかどうかが、人気を左右するという。まったくいいんだか悪いんだか。
今年の夏は英国まで足をのばした。「ハリー・ポッターにでてくるキングスクロス駅の9と3/4番線がみたい!」という娘のリクエストにお答えしてだ。
空からみた英国は、やっぱり乾いたスペインより緑が多い。スペインでみてきた英国の天気予報は[バリアブル」(いろいろ)。何たって英国は天気が悪いことで有名。「1日の中で四季がある」とか「よく雨が降るので折り畳み傘が必要」とかガイドブックに書いてある。まぁ、天気が悪くても涼しくなればいいか、とあきらめ気味に降り立ったガトウィック空港は抜けるような青空。ふ〜ん、英国にもこんな天気があるんだね。
さっそくお目当てのキングスクロス駅にでかける。「1,2,3...おりょ?9番線がないじゃないか」と探し回ると、「9、10、11
番線はあっち」と矢印がでている。細い通路を通り抜けるとチマっとしたホームが現れた。9番線にはa とbの二つのホームがあったけど、やっぱり3/4番線はない。そりゃそうだよね、あれは9月1日のホグワーツ魔法学校の始業式にあわせてでる列車だから、バカンスまっただ中の7月下旬にきてもダメなんだよね、きっと。
しかしまぁ、あれだけ世界を沸かせたベストセラーの舞台の一部だというのに、あやかり商法の一つもない。日本だったら「ハリポタ煎餅」とか「銘菓:ホグワーツ」なんてのが駅の売店に並んで、箒やフクロウのぬいぐるみが売れちゃったりするのだ。
おっと、誰かがホームをバックに記念撮影をしている。ふ〜む、やっぱり日本人観光客かぁ。どうも、ご苦労様です。
キングスクロス駅の9と3/4番線からでている電車は、近郊通勤列車だった。すぐお隣にはゴシック様式で煉瓦造り、超豪華なセント・パンクラス駅があるし、ほかにもユーロスターの発着駅になっているウォータールー駅など、旅愁を誘う駅はいくらでもあるのに、ホグワーツ行きの季節列車は通勤客が足早に通り過ぎるチマチマっとした駅からでる。それはそれで、なんだかとってもいい。
娘の感想は「ガチョ〜〜〜ン」だった。そうね、君にはまだこの渋い感覚は理解できないだろうねぇ。
実験的子育て雑感 その1 その3 バカンス編
SOLOREBORN
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