その1『一人娘は次女』 三宅はつえ 妊娠中は毎日「妊婦日記」を書いたものだが、子供が生まれてからは「育児日記」はつけたことがない。「良いおっぱい・悪いおっぱい」の著者である伊藤比呂美さんが、やめた方がいいと仰ったからだ。んで、忘れた。ものの見事に忘れた。子供が小さい頃の記憶はもちろんあるのだが、断片的で、時間経過がぐちゃぐちゃだ。 うちの娘は11才になる。『思春期』というオンナの子の人生の中では、なかなかおもしろい時期に差し掛かっている。日々のやりとりは、これから熾烈きわまりなくなるだろう。実のところ、いつ「うるせえ、ババァ」がでるか、楽しみで仕方がないのだ。こんなわくわくした気持ちも、そのうち「あれは、いつだったかなぁ」などと、呆けたこと言い出す自分が見えているので、まぁ、日々の雑感として書き留めようかと思ったのが、この雑文だ。ほんとにおババになったら、ひっぱりだしてウヘウヘしながら読んでやろう。 世間様では「一人っ子は○○だ」と、よく言われる。この○○の中には「わがまま」とか「打たれ弱い」とか「のんびりしている」といった単語が入る。だいたいが、あまり好意的な表現ではない。一人っ子の親としては、やっぱりこんな言葉が、ちょっとだけ気になる。 「そうだ!私が『おねーさま』になりゃいいんじゃん」 だいたいが我が家は通常母子家庭で、家族構成は「長女」と「次女」だけ。「名誉長男」の夫はスペインに置いてきてしまったので、家族みんなで過ごすのは年に1ヶ月あるかないかだ。別に好きこのんで夫を置いてきたわけではなく、私の母の持病が悪化し、一時は寝返りもうてないようになったからなのだが。 正直、娘にはよく泣かれた。「ふーちゃんたちは家族だよね。家族が一緒に暮らせないなんて、ヤだ!」シクシクシクシクシクシクシクシク..... |