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癒しのレッスン
鍼灸師・辻内敬子さんの
自分でできる簡単ツボ療法 

by 小栗久実子

お灸

 ●お灸って、気持ちイイ
 ツボを刺激する方法は押すことだけではなく、鍼やお灸で刺激する方法もあり、これがいわゆる「鍼灸」とよばれ、日本では鍼は鍼師、灸は灸師という国家資格が必要になっています。このうちお灸は、専門家に施灸量を教わり、灸点をつけてもらって自宅でお灸を据えるという形で、古来よりセルフケアの方法としても継承されてきました。
 お灸というと、「痕が残る」、「熱いのは我慢できない」と、最初から敬遠される方も多いようですが、痕の付かない方法もありますし、あたたかく感じる程度の熱刺激でも効果があることはあまり知られていません。ツボの位置は、多少ずれたとしても具合が悪くなるようなことはありませんが、未経験の方が本を片手に自分で試しても、「ツボの位置はこのあたり?」「はずすタイミングは?」と不安を感じながら行っているのでは、長くは続きません。誤って火傷をするようなことがあれば、なおさらです。
 そこで、まずは専門家に教わることをお勧めします。ツボの位置や施灸方法がわかれば、自分でも安心して行うことができるでしょう。。お近くの鍼灸院で施灸の指導をしてもらえないか相談してみましょう。お灸には、自律神経系に働きリラックスするなど即効性の他に、長く続けると体調が良くなるなどの効果もあります。

●妊娠・出産・産後にも効果的

 妊娠中は、できるかぎり薬を飲みたくないと思われるでしょう。また、腰痛や肩こり、便秘、頻尿などの不快な症状が出ても、出産したら治るだろうから我慢しなくてはいけないと思われる方が多いようです。
お灸は、ホルモン系や免疫系、自律神経系に働きかけて、いわゆる自然治癒力を高めるものですから、妊娠中でも安心して行うことができます。
つわり、むくみの改善、お腹の張り、痔、妊娠中毒症の予防、産後の子宮回復を促すなど、身体を整え、体調を良くする効果が期待できます。また、逆子の時も利用しますが、お灸をすると骨盤内の血行が良くなり、赤ちゃんもよく動くようになった結果、逆子が治るのではないかと考えられています。
 施灸するときはテレビを見ながら、などの「ながら灸」ではなく、赤ちゃんと向き合う時間に設定し、身体の感覚と赤ちゃんの動きを感じながら行ってみましょう。自分の身体を知るよい機会となるでしょう。そして妊娠中の体調を整え、赤ちゃんを産み出す力をたくわえていきましょう。


●お灸の種類

艾(もぐさ)を直接皮膚の上で燃焼させる直接灸と、艾と皮膚の間にニンニクや生姜などをはさむ間接灸があります。初めて試す人は、薬局などで市販されている間接灸(カマヤミニ、千年灸など)がソフトで使いやすく工夫されているので、こちらをお薦めします。


●施灸(間接灸)のポイント

気になる症状の改善のためにも、専門家に相談し、ツボの位置を確認してもらいましょう。熱いと感じたら我慢せずにとるようにします。市販の間接灸を利用する場合は、自分で目安をつくってはずしますが、むくみのある人、疲労がたまっている人、冷え症の人や精神的緊張状態が続いている人などは、さを感じにくいこともあるので注意が必要です。もし火傷や水疱が出来た時は、軟膏(馬油、紫雲膏など)を塗り、かさぶたができるまで休みましょう。かさぶたができたらその上からお灸をします。
据える箇所は、全身で多くても10箇所程度にとどめ、施灸箇所が多すぎないようにします。1日1回、1カ所につき1個位を目安に行ってみてください。刺激が過剰になると、熱が出たりだるくなったりすることがあります。少し物足りなく感じる程度で止めておきましょう。


●施灸(間接灸)のポイント
顔や粘膜部、妊婦さんの腹部に施灸するのはやめましょう。また、空腹時、飲酒後、食前食後1時間以内、入浴後1時間以内、運動直後にするのは避けましょう。高熱の時、出血性の病気や感染症のある人、高い高血圧症の人、変動の激しい高血圧症の人は行わないでください。

 

 

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