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癒しのレッスン
鍼灸師・辻内敬子さんの
自分でできる簡単ツボ療法 

文 小栗久実子/イラスト 宮下真沙美

ツボ療法を、子供に


「ツボ療法を子どもに試してもいいでしょうか?」答えはもちろん「イエス」です。子どもの「はり治療」として、江戸時代から行われていたという「小児はり」があります。「はり」といっても刺すのでなく、軽い皮膚刺激が中心の治療法です。夜泣き、疳の虫や夜尿症などに効果があるほか、継続して行うと風邪を引きにくくなるなど健康増進に役立ちます。この小児はりの手法を応用して全身をさすったり、指で刺激を加える子どものツボ療法をご紹介します。乳児から6才くらいまでのお子さんとはスキンシップを楽しみながら試してみませんか。小学生のお子さんもタッチングされるのは大好きです。刺激方法や刺激量は年齢や個人の状態に応じて調節しましょう。

●刺激の方法と場所

腕(特に肘から指先にかけて)足(膝から足先にかけて)背中
(肩胛骨の間から腰にかけて)を手のひら全体を使って軽くなでさすります。さっさっと流すような感じでおこないます。

小さいお子さんには人指し指、中指、薬指の3本の指の腹を使うとよいでしょう。呼吸器系の弱い子どもには胸を加えます。肩胛骨の間は念入りに行います。消化器系の弱い子どもにはお腹(おへその周りを「の」の字を描くようになで回す)を加えます。

ツボへの刺激は、指先で軽く押さえる程度とします(5秒づつを3回ぐらい)。乳児はツボ周辺をさする程度の刺激でよいでしょう。全身とツボ療法を加えても1分〜5分以内で十分です。

●刺激を与える時の注意
小さい子ほど刺激に敏感です。特に乳児への刺激は強くなりすぎないように、やりすぎないように注意しましょう。下腹部を刺激しすぎると下痢することもあります。刺激が強いと熱を出したり、夜泣きしたりすることがあります。高熱の時、疲れている時(親も)、出血性の病気、炎症症状がある場所は止めましょう。空腹時や食後すぐも避けましょう。


●ポイント
温かくした手で、軽く、やさしく、気持ちいいが一番。手はしっかり肌につけるように行います。


●「風邪のひきはじめ」に効果的なツボ療法
風邪の季節です。ぞくぞくと寒気がしたら、早めの休養とツボ療法です。大人も子どもも刺激するツボは同じですが、刺激量は違いますので注意してください。大人は大椎のツボ刺激と肩胛骨の間を温めるようにしてみましょう(乾布摩擦の要領で擦ったり、衣類に貼るカイロを使用したりがお薦めです)。子どもはからだが冷えないようにしながら、首の後ろから肩、肩胛骨の間と大椎周辺をくるくる、なでなでマッサージ。足先が冷たければ治りが悪くなりますので、足を温めてあげてください。
○大椎(だいつい)
首を前に曲げた時に、首の付け根に大きく盛り上がる骨のすぐ下(第7頸椎棘突起下)


参考文献
『実用こども療法』 刑部忠和 大陸書房 1980年
『子どものためのツボ療法』 谷万喜子 ぷれる講演会1999年

REBORN26号(2001年1月発行)より転載
イラスト・宮下真沙美