癒しのレッスン
鍼灸師・辻内敬子さんの
自分でできる簡単ツボ療法
文 小栗久実子/イラスト 宮下真沙美
月経痛(生理痛)を治す
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月経の痛みは、「ある程度は仕方ないこと」と思ってあきらめてしまっていませんか。かなりの痛みに、月経前から痛み止めの薬が手放せないという人もいるかもしれませんね。
月経痛はなぜ起きる?
月経の3〜7日くらい前から不眠、頭痛、いらいら、憂うつ、吐き気、むくみなどの症状があらわれ、月経開始とともにこれらの症状がなくなっていく月経前緊張症。そして、月経時に頭痛、吐き気、下腹部痛、腰痛などが伴う月経困難症。どちらもホルモンのバランスの乱れ、自立神経の失調、精神的ストレスの影響が原因ではないかといわれていますが、その他に子宮内膜症や子宮筋腫が原因となっている場合も少なくありません。ツボ療法でも効果があらわれず、かなり激しい痛みがある人は、一度、婦人科を受診されることをお勧めします。
食生活は
規則正しい生活や十分な休養とバランスのとれた食事は、月経痛にかぎらずとても大切です。とくに月経痛のある方は、葉野菜、豆、穀類を積極的に摂り、乳製品と紅茶、コーヒー、チョコレートやその他カフェインの入っているものを控えてと言われています。むくみを防ぐために水分や塩分を控えたり、月経前には果物や生野菜、冷たい飲み物など、体を冷やす食べ物は摂らないように気をつけましょう。
痛い時だけではなく、日頃からの手当を
症状が出る前から始めた方が効果的ですので、3〜4日ぐらい前から指圧や温灸などのツボ療法を始めてみましょう。温めて気持ちの良いタイプの人には、関元の温灸や次りょうの温湿布などがお勧めです。痛みと共にいらいらの出るタイプの人には、足の関節を広げるようにマッサージする事や足にある行間のツボ刺激をお勧めします。また、三陰交や関元のツボ療法は、毎日続けて体調の改善を図りましょう。冷えは生理痛を悪化させるため、日頃から冷えに効くツボ刺激をしていきましょう。
●次りょう(じりょう)
お尻の中央に逆三角形の骨があり、その骨の中央から左右に2センチくらい離れたところのくぼみの部分。自分で押すときは仰向けに寝て、お尻の下にげんこつを作るか、ゴルフボール2個を下にして、からだの重みで刺激していきます。腰をローリングするとほどよい刺激が響きます。
●関元(かんげん)
おへその真下、指4本分のところ。温湿布や温灸で下腹部を温めましょう。
●三陰交(さんいんこう)
足の内くるぶしの最も高いところから指4本分上で骨のうしろぎわのところ。女性の特効穴として、生殖器機能を整え、冷えの改善にも有効です。温灸をしていきましょう。
●行間(こうかん)
足のこうで親指と第2指のまたの後ろのくぼみ。足の指1本1本をよく刺激した後、指の間と指の間を広げていきましょう。
●血海(けっかい)
膝の骨の内側のくぼみから指3本分上のところ。血に関わる症状に有効なツボです。親指を重ねるようにしてジワーと押してゆっくり離すをくり返します。 |
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体操も、プラスして
骨盤内のうっ血に対して血液循環をよくし、腰痛や下腹部の痛みを緩和するため、以下の体操も取り入れてみてください。
・両手を垂らして左右にぶらんぶらんと振りながら腰をひねる。
・仰向けに寝て、両足をそろえて膝を曲げ、上半身は動かさないようにして膝を左右に倒す。
◆参考文献
『PMSの研究』松本清一監修 文光堂 1996年
『女性のための東洋医学入門』 矢野忠著 日中出版 1998年
REBORN27号(2000/4)号より転載
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