1.勤務先での促進剤使用状況
2.それを適切だと感じていますか
3.・・・の答の理由
●公立病院助産婦(千葉県)
1.計画出産を推進しており、65%の妊婦に分娩誘発。入院予定日前に自然陣発した場合も多くは入院後、促進剤を使用。
2.適切とは思わない。
3.妊婦には外来受診中より安全のためと説明し、納得させていた。自然分娩を希望する人は早めに転院していたようだ。本当の理由は、医師が夜間や休日に働きたくないからだと思う。助産婦は皆若く、医師にふりまわされていた。
●総合病院産婦人科医師(新潟県)
1.午前中に自然陣痛で入院し、夕方まで、つまり人手のある時間帯に生まれそうになければ点滴開始。また、陣痛が明らかに弱い場合や41週と3日すぎてもお産が始まる兆候のない場合は入院して内服する。
2.必要な誘発もあるが、使いすぎだと思う。
3.当番の医師によって対処が違う。自分は産婦に希望を聞き、待てるときは待つが、上司の判断で決められてしまうこともある。
●助産院の助産婦(愛知県)
1.現在はないが、3年前まで勤務していた産院では、破水の全例、予定日超過、ベビーが大きそうな人、計画出産を希望した人に使用していた。
2.産院に勤務していたときは仕方ないと思っていたが、いまはそう思わない。
3.助産院でお産を介助するようになり、待てば状況がよくなると実感。お産の兆候がないのに誘発すると、無理がかかって3日、4日と産婦はドロドロに疲れてしまう。みかけの予定日にとらわれないで待つべき。
●助産院の助産婦(長野県)
1.使用しない。以前は総合病院に勤務していた。陣痛促進剤の使用も含めて、自分の考えと違う点について緕tと何度も話し合ったが、全く変わらず、方針についていけなかったので辞めた。その病院では、医師の都合で使用されることがしばしばあった。
●病院助産婦(東京)
1.必要なときのみ使用。微弱陣痛など医学的に促進が必要と思われる場合や、本人が誘発を強く希望する場合に限り、ビショップスコア(内診所見の採点基準、9点以上が成熟とされている)を判断した上で使用している。
2.必要なときは、仕方がない。
3.「母児安全のため」の一言につきる。
●看護学校専任教員(北海道)
1.勤務先の病院は、薬には頼らず、助産婦も医師も「待つお産」を心掛けているので、あまり使用されていない。使用するのは、予定日超過(1週間は待つ)で胎盤機能が落ちてきた場合や、破水をしてから24時間以上経過しても、陣痛がなかったり、微弱の場合に感染を防ぐために使用。
2.不用意には使っていないと感じている。
3.促進剤を使うケースは、使わない場合のリスクの方が高いから。私自身は、7年ほど前から「母性看護学」の「妊娠・分娩」の講義で、子宮破裂など陣痛促進剤の副作用について学生に話している。
●総合病院助産婦(大阪)
1.微弱陣痛と過期妊娠(42週以降)のみ使用。
2.羊水混濁があったり、産婦さん自身が疲労しきっているなど、それ以上待っても、良い影響がないケースに限っての使用なので、仕方がないと思っている。
3.以前は誘発分娩が盛んに行われていたが、5〜6年前より世論の影響もあって、「自然なお産」への意識が病院内でも高まってきた。アクティブバースを勉強している助産婦は、なるべく薬を使わずに出そうと努力しているし、母親学級でも陣痛促進剤がどんなものかを教えている。
●看護学校専任教員(元総合病院助産婦)(千葉)
1.以前、勤めていた国立病院では、お産は日中に済ませるという方針で、ほぼ全例が計画分娩だった。
2.勤めはじめたばかりで、仕事を覚えることが精一杯で、病院の方針に疑問を感じなかった。今は、自然に産めるなら自然出産がいいと思っている。
3.月に5、60件もの出産があるという状況では仕方がなかったかもしれない。学生には「母性看護学」で、「妊娠・分娩」の講義をしているが、教員が行うのは正常分娩のみで、異常編は、医師が担当しているので、陣痛促進剤の副作用など、どこまで学生に話しているかわからない。
●総合病院助産婦(大阪)
1.以前、勤めていた総合病院では陣痛促進剤が濫用されていた。
2.使用することで、危険を逃れたケースはまれで、使わなくてもいい人がほとんど。点滴のポンプが足りなくなることもあり、羊水混濁、胎児仮死など無茶なお産が多かった。本当のことを、産婦さん自身知っていたら、拒否したに違いないと思うと、騙しているようで後味が悪かった。
3.月160件ものお産がある割にスタッフ不足で、一人ひとりに十分対応できず、良いケアができない。また、全体的に見て、産婦さん自身もおとなしすぎると思う。もっと医療者に対して説明を求めたり、意思表示をしてもいいのでは?
◆REBORN紙 第11号 (1996年4月発行)に掲載したものです。
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