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伝統的な日本食をしっかり食べよう
 眞弓定夫さん小児科医・(東京都武蔵野市/眞弓小児科医院)

REBORN27号(2000年4月発行)より

 

 ヒトは哺乳類のなかでも霊長類に属しています。ヒト以外の霊長類が発生当時の生息地にとどまっているのに対し、ヒトは火の使用により本来ヒトの生息圏外の寒帯にも移り住むことができるようになりました。飢えから身を守るためにやむを得ず摂るようになったのが牛乳・乳製品・肉類で、そこから現代栄養学が生まれたわけです。
ですから、北海道以外はヒト本来の生息圏である日本においては、連綿と受け継がれてきた伝統食を食べていれば「栄養学」は必要ないのです。
 ところが敗戦後、余剰小麦を日本に供給したいアメリカの食糧政策によってパン食が定着し、肉類・牛乳・乳製品・熱帯の果物など、経済発展につながる食品が食卓を賑わすことになりました。食の欧米化による体格の大型化につれて体質は劣化し、生活習慣病(成人病)、アレルギー、心の偏りが顕著になってきたのは、皆さんもご存知のとおりです。

 とくに大きな問題は牛乳と乳製品の摂取です。人間以外の哺乳動物で異種の乳で育つ動物はいませんし、牛乳は牛の赤ちゃんにとっては栄養価の高いものですが、その牛でさえ断乳すれば再び飲むことはありません。また、日本人はヨーロッパ人に比べ、牛乳の固形成分のなかで最も量の多い乳糖を分解するラクターゼが少ないうえに、牛乳に多量に含まれていると思われがちなカルシウムも煮干しには22倍、昆布には7倍も含まれています。
 日本人に合わない牛乳を子どもたちに与え続けた結果の体と精神面の悪影響も多数報告されているのです。

 自然界では食べものは自分の足で集めるのが原則です。ですから、昔の人は「三里(四里)四方のものを食すれば病せず」と言いました。三里四方が無理なら現状に合わせて少しずつ輪を広げ、旬のものを摂るようにします。日本は、海・河川に恵まれているので、動物性たんぱく質は魚介類が中心となります。
 妊婦さんにはよく「頭の中で2本の包丁を持ち、1本は大根・ほうれん草・ハスを、もう1本はソーセージ・バナナを切ってみてください」と言います。どちらが汚れますか? そして、その汚れは妊婦さんの血液中に入り込み、脳につまれば脳梗塞、心臓につまれば心筋梗塞になります。母乳は白い血液であり、乳管は血管と同じように細いので乳管につまれば母乳が出なくなってしまうのです。

 受胎から出産までに胎児は約30億倍にも成長します。胎児の栄養=妊婦さんの食事なので、妊娠中の食事については、とくにしっかり考えてほしいと思います。


                             文・取材 三好菜穂子

参考文献:『子どもの病気は食べて治す』眞弓定夫著(PHP研究所)

 

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『REBORN』27号(2000年4月発行)に掲載したものです。

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