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ジュニアREBORN
「せいり なんでもトーク」
講師・司会/土屋麻由美さん(助産師・麻の実助産所)
文・構成/三好菜穂子
写真/河合 蘭
イラスト/平井さくら

 母親の影響からか、お産やからだについて人一倍興味を持っているREBORNスタッフの子どもたち。なかでも、小学生の娘たちにとって一番の関心事は、「はじめての生理」。

 「麻の実助産所」の土屋麻由美さんは、自宅出産の介助をされるかたわら、新しい兄弟を迎える子ども向けのクラスをされたり、地域の小学校や父母会、乳幼児と親などに性の健康教育を積極的にされている助産師さん。スタッフの娘とお友だちも参加して、土屋さんに生理のことを勉強する小さなパーティをしていただきました。その様子をダイジェストでお届けします。


◆参加者
みかん(小1)、いちご(小1)、りんご(小4)、MK(小6)

●生理ってなんだろう?

土屋 今日は生理のお話をしようと思います。学校で生理の話を聞いた人いる?

MK 5年生の林間学校の前に、女の子だけ集められて聞きました。少しは知ってたけど、保健の先生が詳しく話してくれて、知らないこともたくさんあった。

土屋 生理は簡単に言うと、女の子が子どもから大人になって、子どもを産むことができるようになったというサインです。出血することはみんな知っているみたいですね。どこから出血するか知ってる?

みかん …腸?

土屋 腸ではなくて、おしっこの穴とうんちをする穴の間のところ、赤ちゃんが通ってくる出口です。
 女の人には卵をつくるところ(卵巣)が2つあります。みんなのからだにも赤ちゃんのときからあるんだよ。だんだん大きくなると、卵巣が働くようになって、1カ月に1個ずつ卵が出てきます。赤ちゃんをつくるためには、女の人の卵だけじゃなくて、男の人の精子が必要なの。赤ちゃんの通ってくる出口から精子が入って、そのうち1つだけが卵と合体して赤ちゃんの素になります。でも、精子が来なければ、赤ちゃんのために準備していたふかふかのお布団が卵と一緒に、赤ちゃんの通ってくる出口を通って外に出ます。次の新しい卵のために子宮の中をきれいにして準備するんですね。そのときに、出血するのが生理です。
※使用した教材/素敵な女の子人形セット、紙芝居(アーニー出版)

●自分のリズムを知ろう

土屋 生理のことを正しくは「月経」といいます。毎月経ていく、1カ月ごとにある、という意味です。1カ月と言っても、28日〜30日くらいに1度来ます。例えば今月の1日に来たとしたら、次は28日とか30日に来るので、少しずつ日にちがずれていきます。生理がきた日をメモ帳につけておくなどして、自分は何日くらいで来ているか、知っておくことが大事ですね。最初のうちはバラバラだったりするけど、そのうち、からだのリズムがついてきます。「生理のメモリーノート」といって、5年〜10年間の生理の記録だけをつけられる便利なノートもあります。

 生理は、だいたい5日〜1週間くらい続きます。量は、1日目は中くらい、2日目はいっぱい、3日目が中くらい、4、5日になるとだんだん少なくなる人が多いです。でも、人によって出血量や日数も違うので、それに合わせて生理用のナプキンを変えるようにします。今は、たくさんの種類のナプキンが出ているので、いろいろ試してみるといいですね。寝ていると後ろのほうに血が回ってしまうので、後ろがこんなに大きい夜用や、赤ちゃんの紙おむつみたいにギャザーつきでモレないようになっているもの、少ない日に使うミニミニナプキンもあります(写真参照)。ほかにも、使い捨てではない布製のナプキンもあります。とても肌ざわりがよく、ナプキンにかぶれやすい人でも使えます。

 ところで、みんなは、いつ生理になりたいと思う?

りんご 6年生くらいかな。

いちご …わからない。

MK 私は、6年生の夏休みになった。

土屋 だいたいの人が6年生から中学生くらいでなります。高校生になっても来ない人は、一度、産婦人科のお医者さんに相談するといいと思います。

 ところで、MKちゃんは、生理中に具合が悪くなることはある?

MK おなかが痛くなったり、ちょっとフラフラすることがあります。

土屋 ホルモンがすごく変わる時期なので、眠くなったり、疲れやすくなったり、頭痛がしたりする人もいます。血を外に出すときに子宮が少し収縮するので、そのときにおなかが痛くなる人もいます。からだを冷やすと筋肉も収縮するので、よけいに痛く感じます。だから、生理のときは、からだを冷やさない服装にして、暖かいお茶を飲んだり、腰にカイロ当てるなどして、からだを暖めることが大切です。果物や糖分はからだを冷やすので、生理が近くなったら、甘いものを控えると痛みが少し和らぎます。

●生理の体験を子どもに語る

土屋 お母さんが初めての生理になったとき、どうだったか聞いたことがある? お母さんたちもすごくドキドキしちゃったりとか、不安だったりしたことがあると思います。お母さんにはじめての生理になったときのこと、聞いてみましょうか?

◆◆◆◆◆
りんご 初めて生理になったのはいつ?

 中学1年生のとき。

りんご どう思った?

 まわりのお友だちは、6年生でほとんど来ていたから、『私にもやっと来たか・・・』って、ちょっと大人の仲間入りしたような気がして安心した。おなかが痛くなったりとかはしなかったけど、部活がテニス部で、おまけに白いスコートだったから、体を動かすとちょっとずれたりして、運動するときには面倒くさいなぁと思ったこともあったよ。でも、女の子同士で情報交換したりして、だんだん運動中でも快適に過ごせるようになった。

りんご 大人になってからの生理はどう思ってる?

 大人になるまでずいぶん失敗もして、自分のからだのことがわかってきたから楽になってきたよ。でもね、お母さんは生理の1週間前くらいからすごくイライラするから、そんなときは、『もうすぐ生理なんだな』って、わかってくれるとうれしいな(笑)。

りんご いつもイライラしてるよー(笑)。

◆◆◆◆◆
MK 初めて生理になったのはいつ?

 当時としては早くて5年生のとき。多分、クラスで一番早かったと思うな。林間学校の前に生理の話を聞いていたから知ってたけど、やっぱり最初はとまどったかなぁ。お母さんは、小学校のときも今の身長とあまり変わらなかったから、からだが大きいほうだったの。男の子より背が高いというのが嫌でたまらなかった時期だったから、みんなより早くからだが変わっていくことが『嫌だなぁ・・・』と感じたりもしたよ。量も多くて、外出先のデパートや授業中に貧血で倒れたこともあったから、学生のときは大変だったかな。でも、大人になったら、だんだん軽くなって楽になってきたよ。生理はおなかが痛くてつらいときあるけど、ハーブティーを飲んだり、からだを暖めたり、自分で楽になる方法を見つけて、MKもいつかお母さんになって赤ちゃんを産む準備ができている素敵なことだと思ってくれるといいなぁ。

◆◆◆◆◆
みかん 生理が始まったとき、どんな感じだった?

 6年生のとき。背が高かったから、まわりから『早く来る』って言われてたのに、なかなか来なくて心配した。その前に、生理というものがあることを聞いたときは、すっごくショックだった。『毎月1回血が流れる!!』、そんな面倒で大変なことって何だろう!?って。女ってなんて大変、なんという性に産まれてしまったんだと思いました。でも、実際、生理が来たら、そんなに嫌じゃなかった(笑)。

 ママもMKちゃんのママみたいに、ときどきデパートで気持ち悪くなったりしたこともあったけど、それは大人になってからだが変化していくときによくあることだし、そんなにいつまでも続かない。そのときに、みんなが優しくしてくれたこともすごくうれしかったし。だから『なーんだ』って感じで、わりとすぐ慣れたの。だから、小さいときから、『セイリの味方スーパームーン』とか、楽しい本で生理のことを知るっていうのはすごくいいと思うよ。みかんが生理になるのは、まだまだ先の話だけど、生理を楽しみにしている、今のまんまの気持ちで大きくなってほしいな。聞いてくれたら何でも教えてあげるし、不安なことがあったら相談してね。

◆◆◆◆◆
いちご ママは、いつ生理になったの?

 お母さんは学校でも一番最後で、中学校を卒業するときになったから、みんなの仲間になれた気がしてすごくうれしかったの。1週間くらい続いたけど、あんまりひどくおなかが痛くなっちゃうとかフラフラになっちゃうとかっていうのはなくて、楽な方だったかもしれないね。ただ、今もそうなんだけど、生理の前には異常に眠くなってくるので、『あぁ、そろそろかなぁ』と思ったりする。お母さんがお赤飯でお祝いしてくれたのはうれしかったけど、お兄ちゃんやお父さんには言わないでほしかったかな・・・と、そのときはちょっと恥ずかしかった。でもね、大人になってからは、家族みんなにちゃんとお話してくれてよかったなぁって思っているよ。

パーティを終えて

REBORN ほとんどの学校が5年生の林間学校の前に初潮教育を行っているようですね。

土屋 そうですね。でも、4年生でもならないとは言いきれません。生理の知識がなかった子が突然なってしまった場合、どこから血が出たかもわからず、変な病気を疑ったりして、怖い思いをすることもあります。ですから、小学校低学年の絶対に誰も初潮を迎えていないくらいの時期に1度話をしておいて、林間学校や移動教室の前にもう一度、このときは男の子にも話すようにするとよいのではないかと考えます。

 初めての生理のときに、母親に「あなたもこれから大変ね!」と言われた一言が、ずっと心に残って、生理のたびに憂鬱になるという方がいらっしゃいました。不安な時期に親にどのように関わってもらえたかというのは、とても大きいと思います。子どもから親に言うのは難しい時期でもあるので、親の方からときどき声をかけてあげたり、フォローしてあげることも必要ですね。子どもたちには、初めて生理になったときや困ったときはお母さんに伝えてね、いろいろなことでお手伝いしてもらえるから…と話していますが、お母さんたちも、お子さんのからだの変化にもっと興味を持ってほしいな、と思っています。

麻の実助産所ホームページ
http://homepage2.nifty.com/asanomi/



 学校よりずっと早く「せいりの話」を聞いた子が多かった今回のパーティー。でも女の子は、その年齢なりに「いつの日か、おかあさんになるかも」という想いはもっているものです。

 パーティーのあとは渋谷の町でベトナム料理屋さんに行き、せいりとは関係のない子どもらしいおふざけで盛り上がっていた子どもたちですが、その後、家でいきなり「せいり、たのしみ」「せいりになったら、うまくできるかなあ?」と言い出す子が何人かいました心の片隅に、土屋さんのお話はしっかり残っているようです。(河合)


◆女の子の思春期を知るおすすめの本
『セイリの味方 スーパームーン』 高橋由為子著
http://www.web-reborn.com/books/book/seirinomikatasupermoon.htm

『ティーンズ・ボディーブック 増補改訂版』 北村邦夫+JUNIE編集部編著 
http://www.web-reborn.com/books/book/teensbodybook.htm

『知ってる? 女の子のカラダ マンガ ポップコ〜ン天使(エンジェル)』 山本直英監修・解説
http://www.web-reborn.com/books/book/popcorntenshi.htm

『「せのつくはなし」生理とセックス―中学生のおんなのコのからだBOOK』高橋祥子著
http://www.web-reborn.com/books/book/senotukuhanasi.htm

『おとな図鑑―男の子って? 女の子って?』高柳美知子著
http://www.web-reborn.com/books/book/otonazukann.htm

『いのちの応援団』山本文子著
http://www.web-reborn.com/books/book/inochinoouendann.htm

『LOVE・ラブ・えっち―知っているようで知らない安全な“Hのこと”オシエマス』早乙女智子、岩室紳也共著
http://www.web-reborn.com/books/book/lovelove-h.htm

 このマークがある本は、REBORNブックサービスで取り扱っています。



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