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夫の立ち会い
「夫の立ち会い」
REBORN第14号(1997.1)より

 夫立ち会い出産は、全体の18.2%(プラチナ・ギルド・インターナショナル調べ) だそうだ。お産に立ち会ったかどうかで父親の育児が決まるわけではないし、分娩室にいるという 「形」 に固執することはない。でもそれぞれのカップルに会った何かの形で、赤ちゃんは、家族みんなで歓迎したい。REBORN本誌掲載時はすべて実名でしたが、インターネットではプライバシーの観点から匿名しました。

<構成・文> 粕谷 恵/熊手麻起子/三好菜穂子/小栗久実子/三宅はつえ/河合 蘭   
<イラスト>宮下真沙美

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質問

出産体験者の方に聞きました
1.出産の時パートナーがいた場所は? やっていたことは?
2.それをどう感じていましたか?
3.パートナーのコメント

医療者に聞きました
1.立ち会いをしていますか? 全体の何割ですか?
2.健診の時は一緒に診療室へはいれますか?
3.それをどう感じていますか?

男性の意見

出産体験者の方に聞きました

1.出産の時パートナーがいた場所は? やっていたことは?
2.それをどう感じていましたか?
3.パートナーのコメント

第1子を総合病院で出産(愛知県)
1.陣痛室までは一緒で分娩室は別になった。腰をさすってくれたり、呼吸法を一緒にやってくれた。
2.妊娠初期は出産に対してあまり意識がなかったのだが、日が経つにつれて、主人も勉強するようになって、分娩室に入りたいと言うようになった。でも、病院の方針で、陣痛室までしか立ち会えなかった。陣痛室までだったが、主人がそばにいて安心した。会社から駆けつけた主人の顔を見たらホッとして、痛みが和らいだ。いろいろ頼むことも出来るし、心強いので、ずっとついていてほしかった。
3.分娩室に入りたかった。一緒にいることで女の人のすごさが分かった。俺だったら、失神している。全ての男性が、全ての女性(母となった)に、この痛みを乗り越えて産んでくれたことに感謝しないといけないな。第2子はぜひ立ち会う!自宅出産の予定。

第1子を助産院で出産(東京都)
1.助産院ではずっとそばにいて、背中をさすったり、陣痛が強くなってきた時も、ずっとしがみついていた。生まれるときは後ろにまわって両腕をつかんでいた。赤ちゃんのへその緒を切った。
2.是非立ち会ってほしかったので、とても安心していられた。私が意識朦朧としていたので、主人が状況をよく見て覚えておいてくれたのもよかった。子どもをとてもかわいがってくれる。
3.あったかい雰囲気の中でのお産でとてもよい経験になった。

第1子を産婦人科医院で出産(神奈川)
1.そばにいてがんばれと声をかけてくれていたと思う。飲み物をもってきてくれたり、酸素吸入がはずれないようにしてくれた。
2.一人よりも力強いと思う。分娩中は朦朧としていたので、声をかけてくれて嬉しかった。
3.立ち会ってよかったと思う。次ももちろん立ち会う。何で立ち会わない人がいるんだろう。もったいない。

第1子を助産院で出産(東京都)
1.ビデオを撮っていたが助産婦さんが変わってくれて、腕や腰をさすってくれた。上の子と一緒にへその緒を切った。
2.第1子の時もそうだったけれど、家族そろって新しい仲間を迎えることが出来てとても嬉しい。(第1子も立ち会った。) 助産婦さんも気持ちよく腰などをさすってくれましたが、主人だと自分の思った通りに気兼ねなく文句を言ったりしながらやってもらえるので、側にいてもらえてよかった。
3.うまれたー! うまれたー! 昔のお産婆さんの出産のようにアットホームで、あたたかい感じがした。

産婦人科医院で出産(東京都)、看護婦
1.出産時、背中を抱えていた。水中出産だったので、プールの外側から私の身体が浮かないように両脇をはがいじめのように抱えていた。陣痛中は、飲み物や食べ物を持ってきてくれたりした。
2.一緒にいてくれてよかった。一人だったらとても無理だったなぁ。ありがとう。

第1子、第3子を助産院で出産、第2子を自宅出産、助産婦(茨城県)
1.横について、手を握ったりしてくれた。
2.心強かった。お産がこれだけ大変だと言うことを見てほしかったし、子どもの誕生の場面に一緒にいてもらいたかった。育児もスムーズに行くかなと思った。
3.

自宅でで第1子出産(東京都)
1.腰をさすったり、私がしがみつきたくなった時に支えになったり、水を飲ませてくれたり、汗を拭いたり、ずっと付き添って世話をしてくれた。出産時は助産婦さんに指示されて私の両足を持ったり、いろいろなことをしていた。
2.私にとってわがままが言える人は主人しかいなかったので、とても心強かった。主人がいなかったら、お産が痛い上に自分のしてもらいたいことが誰かに伝わらない、また、気を使わなければならなくてお産に集中できなかったかも。
3.あんな思いをして子供を産む女性をすごいと思い、尊敬するようになった。産道を頭が見え隠れしたときから子どもの誕生を目の当たりにしたので子どもが可愛くてたまらない。

第1子、第2子とも助産院で出産(東京都)
1.陣痛時から私の側にいた。第1子の時は、腰をさすったり、ツボを押して刺激したり、水を飲ませたり、助産婦さんに教えてもらいながら、何かしら役に立とうと行動していた。第2子の時は夜明けに出産となったためか、私のそばで、いびきをかいて眠っていた。いよいよ分娩となったとき、助産婦さんに言われて、クッション代わりとなって私の背中を抱えていた。
2.第2子の出産の時は、「無の境地」を経験した。夫は寝ていたが、私はいい意味で「自分で産むんだ」と思い、自分を見つめたお産になった。寝ていてもそばにいてくれる安心感はあった。

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医療者に聞きました

1.立ち会いをしていますか? 全体の何割ですか?
2.健診の時は一緒に診療室へはいれますか?
3.それをどう感じていますか?


病院勤務助産婦(東京都)
1.試みで月に1件くらい。120件に1件の割合。
2.入る人もいるけど、大抵は待合室で待っている。立ち会い出産するカップルには一般の診療室と別のところに入ってもらう。
3.よいと思うが、立ち会いを希望される方たちはトラブルを抱えている人が多い印象を受ける。例えば、「全開帝王切開で自然分娩できなかった」 「夫婦間がしっくりいかず立ち会い出産することで解消できれば」など。

助産院勤務助産婦(東京都)
1.している。9割以上が希望。
2.入れる。
3.出産というとご主人は無視されがちだが、健診で一緒に診療室に入れると、最初は立ち会いたくなかった人でもだんだんお腹の赤ちゃんに愛情が芽生えてくるようになったり、父親の自覚が出てきたりする。そういう男性の気持ちも大切に出来るいい機会だと思う。

産婦人科病院助産婦(京都府)
1.基本的にはないが、第1期、陣痛室までは立ち会い可。第2期からは、病院の方針で部屋を出なければならない。
2.健診には一緒に来た方には入ってもらう。
3.熱心で、スタッフからの印象はとてもよい。一緒に見えるご夫婦は、絆がとても深く、たとえ出産の時に立ち会えなくても同じ喜びを分かち合っていると思う。

総合病院産科医師(千葉県)
1.なし。
2.日曜日の診察のみ可。
3.ご夫婦の絆も強くなるし、また、病院と患者さんとのコミュニケーションもとりやすく、とてもいいことだと思う。

総合病院助産婦(岡山県)
1.行っている。
2.女性の専門病棟なので基本的に男性の入室はお断りしているが、ケースバイケースでエコーの時にお呼びする場合もある。また、予約制だが日曜日外来の場合はエコーの時に入室できる。
3.診療時に一緒に入られたり、出産の時に側にいることで、父親としての意識が変わることが多くある。でも、夫婦間の社会的状況によって立ち会えないというケースもあるのでこだわる必要はないと思う。

病院勤務助産婦(埼玉県)
1.している。産婦さんの希望で行っているが、年間500件くらいの中で20〜30くらい。
2.入ることが出来る。希望する方は、最初から診療室に入ってもらう。
3.患者さんの希望、意志を第1に考え、病院がインフォームドコンセントをやっている。診察、内診の時はご主人に出てもらうが、奥様の経過を知り、今後の状況を知るには、よいことだと考えている。

総合病院助産婦(東京都)
1.積極的ではないが可能。立ち会いは全体の2割程度。うちの病院は、韓国や中国の方のお産が多いが、その方たちは大部分が立ち会いをしている。
2.できない。
3.「産婆の学校」のように、ご主人が産前教室に何度も参加して、精神的準備をするなら賛成。そらがなく立ち会いを希望するケースも多い。でも、今はご主人が側にいてくれるだけでもいいという人が多いのでその部分が満たされればいいのかなと思う。

 

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男性の意見
中学教諭(茨城県)
立ち会ったり、励まし合ったりすることはよいことだと思った。しかし、実際立ち会ってみて私の場合、陣痛室まではよかったが、分娩室には入らない方がよかった。そこだけは神秘のベールに包まれていて欲しかったように思う。何だか、男が見てはいけないものを見てしまった気がした。産後、一時的にだが、妻に対する性的な欲求も薄れた。妻は心強かったといっていたので、第2子のときも妻が希望すれば立ち会うことになると思うが、内心は立ち会いたくない。

会社員(愛知県)
 妻から立ち会ってほしいと言われたが、最後まで嫌だった。血を見るのが苦手だったのと、男が見てはいけないものだと思っていたから。だが出産当日は、妻を助産院へ送っていき、30分ほど腰をさすったりしてるうちにスルリと生まれてしまった。このくらいあっさり生まれてくれるのなら、立ち会うのもいいかなと思った。血も思ったほどではなかったし、男の子か女の子かを一番先に見られたから。

会社員(埼玉県)
 妻から立ち会うことがベストだというので、励まし合えたらと思い賛同した。が、血を見慣れていないので、怖い!とも感じていた。「陣痛があった」と連絡があり、すぐ帰宅して助産院に連れて行き、そのまま立ち会わざる得ない状況に。付いてから30分という大安産だったので、腰をさする暇もなく、ただ手を握って、口をポカンと開けて見ているだけだった。赤ん坊もきれいなイメージとはほど遠く、紫色で「あっけにとられた」というのが正直なところ。でも1日たつと、心から可愛いと思った。

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REBORN紙 第14号 (1997年1月発行)に掲載したものです。

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