プロフィール   
河合 蘭  公式サイト
  

介護と老人医療 2008/07/29

新年度に入ったという話の次が夏休みというおさぼり日記となってしまいました。その言い訳ではないのですが、今年の春はプライベートで大変でした。何が大変だったかというと同居している実母の介護です。

「大変なんだってね・・・」と遠いことに感じていると、ある日突然目前にやってくるのが介護です。ただ私は二十歳そこそこで父親を看取っているので、親の介護は初めてのことではありません。

ただ、今の時代は在宅ケア時代。父の時はずっと病院だったのですが、この差はとてつもなく大きいものです。テレビや新聞からは絶えず介護にからんだ殺人事件が報じられていますが、そういうものを見ていると、思わず介護ライターになってしまいそうです。

母の場合はしばらく介護保険のお世話になり、デイケアとかショートステイ、ヘルパーさんなどが助けてくれた時期もありましたが、内科疾患と認知症の進行というダブルパンチにより介護サービスの人たちの手に余るケースとなってしまいました。かといって受けてくれる病院も見つからず、介護と内科と精神科の狭間に陥ってしまいました。

今の医療・福祉は機能別に細分化し、しかも連携とは名ばかり。だから複合的に全身が弱っていく老人にはとてもかかりにくいものでした。どこも「その部分が、うちでは責任がとれない」と言うのです。

そんな大変な春だったのですが、半月ほど前にやっと受け入れてくれる病院があって入院させてもらうことができました。

精神科救急のお世話になるに至ったことで、やっと受け入れてもらえたのでした。しかも、そこで素晴らしいドクターと出会えて精神科も内科も診てもらえるようになりました。これは大変な幸運でした。

ホスピスという所は人の老いて死んでいく姿をありのままにとらえる画期的な場だと思いますが、そこにたどりつくまでの道のりをどう歩けばいいのか。わが家では奇跡的に感謝すべき出会いがあって糸口がつかめつつあるのですが、同じ悩みを持つ人がたくさんいることを思うと本当にみんなどうしているのだろう、と思います。


助産所の医療バックアップについて 2008/04/18

無事に新年度が明けました。子どもの小学校が新築された校舎になり、壁がない学校になりました。隣のクラスの声は、当たり前ですがよく聞こえるそうです。算数の倍数の勉強で、みんなで世界のナベアツのまねをして盛り上がっているようなのですが、大丈夫なのかな・・・

最初の保護者会に行けなくて残念でした。横須賀市うわまち病院という、国立病院が公設民営となった病院に取材に行っておりました。最近、国の医療改革というか、戦後の医療政策の推移についての勉強を一度ちゃんとしたいと思っています。うわまち病院は、そのためのいい刺激をくださいました。

4月はまた、助産所の嘱託医療機関の問題で助産師さんの世界は大変でした。助産師さんたちは何とかこの問題を乗り越えましたが、本当にお疲れ様でしたという気持ちです。そして、助産所出産する女性たちも、です。かかっている助産所がぎりぎりまで提携先が決まらず、自宅出産か?転院か?と気がもめていた知人もいました。

助産所の安全性については、医師も同様ですが、助産師の免許が一度取ったらそれで終わりという終身免許であることからして課題はまだたくさんあると思います。先進的な医療を打ち出せている国では、免許は更新制が多いはずです。

ただ安全性を社会に示すと言うことは、当事者にとってはとても大変なことだし、理不尽なこともいろいろ起きます。

今回の法改正は、助産院の安全性について特定の施設、あるいは医師個人が担保するというイメージ(実はイメージに過ぎないのですが)があって、そこが、医師にも負担だし、助産所にもひとつ間違えば納得のいく評価がされない可能性があるという問題があったと思います。

また提携先かどうかに関わらず地域に縦横無尽に張り巡らされるべき救急ネットワークと、この提携のかねあいがあちこちで混乱していました。今回、この複雑な法改正をクリアするために払われた膨大な労力が地域ネットワークの進化のために使われていたら、と思ってしまうのは私だけではないでしょう。

しかし・・・今回の高いハードルによって、助産所が得られたものも大きいと思います。それは、助産所は医療とちゃんとつながっているのだと社会に伝えられたことです。

助産所で2度の出産をお世話になった者として、この法改正のクリアに尽力してくださった助産師の皆さん、そして医師会、行政の方々に感謝申し上げます。新規開業の支援も含めて今後も有床助産所の灯火を守ってください。


花寒 2008/03/31

今年の桜は寒い日や雨の日が多くて、私には好みの花です。「三寒四温」とか「花寒」といった素敵な日本語をじっくりと味わえたのが今年の春ではないでしょうか。

「AERA with Baby」が校了間近。今回は産後セックスレスをとりあげ、356人の子育て中の女性から声をいただきました。子どもの年齢が1〜3歳くらいの方たちでしたが、セックスレス率は4人に1人、性欲がない、あるいはかなり落ちていると答えた人は6割にのぼりました。非常に目立った言葉は「めんどう」でした。しかし、ごく少数の人たちは、子どもの出現で夫との関係をぐっと強め、性においても発展していました。発売をお楽しみに。

今月は雑誌の仕事に少しゆとりがあり、これぞ千載一遇のチャンス!と滞っていた単行本仕事に流れをつけました。湘南鎌倉総合病院の井上裕美先生や助産師さんたちと作ってきたお産百科は、出版元の春秋社さんに会社の一室に缶詰にしていただいたおかげで何とか脱稿。早く校正が見たい!

そしてイメジェリーの本も終えるはずだったのですが、こちらは残ってしまいました。しかし、このチャンス期、4月第1週まで続く感じなので今週は集中力をふりしぼらなければ!と思っています。

子どもの学校が始まる頃には気持ちよく新年度を迎えられそうです。今年は出したい本が何冊もあるので、うまく時間を作りたい・・・。