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缶詰め中です | 2011/05/22 | |||
先週末から、いわゆる「缶詰」中です。 出版社の用意してくださった机とベッドだけの部屋に立てこもって高齢出産の本書いています。人とお会いしたりするお出かけ仕事は、この部屋から行って、この部屋に帰ってきます。 昨晩はTBSテレビて゜放映中のドラマ「生まれる。」脚本を書いている放送作家の鈴木おさむさんのラジオ「考えるラジオ」(TBSラジオ)に出てきました。「48歳の妻が妊娠して産みたいと言いだした・・・どうする?」というテーマでした。ジャガー横田さんのご主人の電話出演なども入り、今50歳での第二子出産を考えているとのことでした! リスナーからの反応はおおむね「賛成」「命をさずかるのはすばらしいこと」という声。うれしかったです・・・私は田中美佐子さんと同い年なのですが、いやーこの年齢になって命を授かったら、それはもう命に代えても産みたいでしょう。私にとっては取材してきたことが裏付けられたようでとてもうれしく、ほっとした一夜でした。 その数日前は、JICAのプロジェクトでおこなわれているアフリカの助産師さんの講習会に行ってお話ししました。アフリカの助産師さんにフリースタイル出産の良さや女性がそれ求めてきたムーブメントのお話をしました。「なんで」と思うかもしれませんが、実はアフリカのお産は、とても堅い分娩台の上でのあまりケアのないお産なんだそうです。 そんなことをして、また誰もいない空間に帰ってきます。子ども3人いて家事に追われ・・・という生活をしてきた私にとって、ここは宇宙船のような異空間です! キッチンなどはありませんし、ナッツやフルーツ、生のにんじんなんかを近所のスーパーで買いつつも基本的には外食に行きます。でもまあ、座っているので大してエネルギーは要りません。 とても静かです。少しおさまっていた余震がこのところ多くなって、地震になると「ギーコオ、ギーコオ」と何かが鳴る部屋なのですが〜。 お散歩にも行けます。写真のように、けっこう木とふれあえる場所もあります。知らなかったのですが、こちらはJR四谷駅から見える上智大グラウンドを見下ろす散歩道です。かなり大きな桜の木が続きます。 窓の外は都心のビル街です。今日はなにやら警官がたくさん出ています。朝、皇居まで散歩してみましたから、ショキング中の人もたくさんいましたが、右翼の方の車なども。車のあとからついていくパトカーや白バイに「ばかやろー、なんでついてくるんだ」と怒鳴りながら走り去っていきました。しかし、日曜日のオフィス街で起きていることはそれくらいで、とても静かです。 とめどがない仕事の流れ、そして震災という心を奪われる出来事もあり、一番大切なことであるはずの本の執筆が、なかなかできないでいた最近の私。ともかく話す仕事が増えていて、職業が不明になってきそうでしたが、これではイカンです。話すことはいくらでも話したいし人にお会いできる仕事も大歓迎なのですが、それで書く体制が守れていないのは職業ライターとして誠にはずかしいことでした。 本来の仕事、ガンバリます。 |
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女性たちの被曝 | 2011/05/12 | |||
震災以来、私はニュースについてはテレビ、ネットの割合が減って、雑誌や新聞を読んでいる時間が増え、ラジオにも少し目覚めつつあります。テレビとネットの刺激が強すぎて何だかもう数日で疲れてしまったからなのですが、やはり週刊誌や月刊誌など昔からあるメディアはいいなあと思うのです。 その中で、昨日電車の中で何度も読み返してしまったのは『文藝春秋』(2011年6月号)の「原爆の広島で子育てをした女たち」。江刺昭子さんというノンフィクション作家の方が書かれたのですが、子ども時代、女学生時代に広島で被曝した女性がその後の結婚や出産・育児などでどんな日々を送ってきたかがていねいに聞きとられていました。ご自身も、広島育ちなのだそうです。 今週は、日本産科婦人科医会の記者懇談会がある週で、ちょうど広島の胎内被曝のデータを説明してもらったところでした。データはただの数字。その数字さえ衝撃的な事実なのですが、さらに、その数字に含まれるひとりひとりの母親には、怖ろしい被爆体験や結婚の時に「ピカにおうとる」と言われて味わった差別、「私が子どもを産んでいいのだろうか」と迷いながらの出産など大変な苦しみがあったことがこの記事でよくわかりました。 でも、記事に出てくる方々はみなさん半世紀のあいだ前向きに生きてこようと、幸せになろうとしてきました。そして子宝に恵まれてきました。これはデータもあるのですが、広島では、被曝二世には染色体異常などの増加は見られていません。 でも、広島と較べると線量がまったく違う福島原発の事故さえ、今の母親たちには受け入れることがとても難しいです。それを思うとき、広島にいた女の子たちの、何も知らされず、誰にも助けてもらえずに生きてきた彼女たちの強さと悲しさには、思わず泣けてきてしまいます。 |
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