『妊娠―あなたの妊娠と出生前検査の経験をおしえてください 』 柘植 あづみ・菅野 摂子・石黒 眞里 著 洛北出版 ¥ 2,940(税込) ISBN978-4903127118
◆375名が答える、今、日本で妊娠を経験することとは
望むと望まざるとにかかわらず、妊娠すると、さまざまな選択肢から一つ一つ選ばなくてはならない。どこで健診を受けるか、どこで産むか、超音波検査を受けるか、母体血清マーカー検査や羊水検査を受けるか…、そして、産むのか産まないのか。 また、選んだわけではなくても、さまざまな経験をすることになる。妊娠中の身体の変化、生まれてくる子の不安、死産や流産、人工妊娠中絶など。 これらはすべて本書に書かれたアンケートまたはインタビュー調査の項目である。今、妊娠をめぐって、日本の女性たちはどのような経験をしているのか。660ページに刻まれた、375名のアンケートと26名のインタビュー結果を読んでほしい。 (REBRON 白井千晶)
オビ・裏表紙より この本は、女性の妊娠経験について書かれています。そして、胎児の状態(とくに障害や特別の病気)を調べる出生前検査の経験についても書かれています。 出生前検査を受けるか受けないかや、胎児になんらかの「異常」が見つかったらどうするかを人に相談したり、その体験を話したりすることは、とても難しいことです。 この本は、375人の女性にアンケートした結果と、26人の女性にインタビューした結果をもとに、いまの日本で妊娠するとはどんな経験なのかを丁寧に描いています。 胎児に障害があったら...... さまざまな女性の いくつもの ただ一つの経験 いまの日本で妊娠するとは どんな経験なのか? 目次 ◆ 第1部 アンケート編 ◆ ◆ ◆ 第1章◆ 妊娠の経験 第二子の妊娠時に切迫早産で入院 慢性疾患があり妊娠・出産に不安があった 自分の病気で中絶 死産と流産そして出産 1 今から一〇年以内に何回妊娠しましたか? 2 妊娠の結果 3 それは予定していた(望んだ)妊娠ですか? 4 いつどのように妊娠に気づきましたか? 5 あなたが胎児を「生命」あるいは「赤ちゃん」と初めて感じた「瞬間」をおぼえていますか? 6 妊娠に気づいたときどのように感じましたか? 7 妊娠中の身体の変化をどう思いましたか? 8 妊娠がわかったときの婚姻状況について教えてください 第2章◆ 超音波検査の経験 第二子に障害があった 病院での出産と助産院での出産 二度めの妊娠時に超音波検査で 胎児の異常が見つかり中絶した 1 超音波検査を知っていますか? 2 超音波検査の目的や方法をいつごろ知りましたか? 3 超音波検査について医師(医療者)以外からなにか情報を得ましたか? 4 医師(医療者)は超音波検査の目的、方法、リスクなどについて説明してくれましたか? 5 超音波検査を受けるかどうかについて医師(医療者)から尋ねられましたか? 6 超音波検査を受けましたか? 7 超音波検査を受けるかどうかについて誰が決めましたか? 8 超音波検査で胎児の性別を知りましたか? 9 超音波検査で何らかの異常が発見されましたか? 10 超音波検査の感想 第3章◆ 母体血清マーカー検査の経験 夫の病気と三度の妊娠 妊娠への不安と母体血清マーカー検査 検査結果を待つ不安 1 母体血清マーカー検査を知っていますか? 2 母体血清マーカー検査の目的や方法をいつごろ知りましたか? 3 母体血清マーカー検査について医師(医療者)以外からなにか情報を得ましたか? 4 医師(医療者)は母体血清マーカー検査の目的、方法、リスクなどについて説明してくれましたか? 5 母体血清マーカー検査を受けるかどうかについて医師(医療者)から尋ねられましたか? 6 母体血清マーカー検査を受けるかどうかについて誰が決めましたか? 7 母体血清マーカー検査を受けましたか? 8 母体血清マーカー検査についてあなたのお気持ちやお考えをお聞かせください 第4章◆ 羊水検査の経験 双子と頚部浮腫 四〇歳での妊娠 母体血清マーカー検査の結果 1 羊水検査を知っていますか? 2 羊水検査の目的や方法をいつごろ知りましたか? 3 羊水検査について医師(医療者)以外からなにか情報を得ましたか? 4 医師(医療者)は羊水検査の目的、方法、リスクなどについて説明してくれましたか? 5 羊水検査を受けるかどうかについて医師(医療者)から尋ねられましたか? 6 羊水検査を受けるかどうかについて誰が決めましたか? 7 羊水検査を受けましたか? 8 羊水検査についてあなたのお気持ちやお考えをお聞かせください 第5章◆ アンケート調査のまとめ ◆ 第2部 インタビュー編 ◆ ◆ ◆ 第6章◆ 何を知りたいか 第7章◆ インタビュー調査協力者のプロフィール 第8章◆ 妊娠年齢と出生前検査 1 高齢妊娠の体験 「高齢妊娠」は心配 2 結果を知るのがこわい 産む決断も産まない決断も避けたい 3 体力に不安がある 自分の体力と出産への不安 4 医師の判断をあおぐ 検査を受けないと自分で決めた 第9章◆ からだの不安と出生前検査 1 からだの不安から検査を受けた 切迫流産による出血と第一子の病気 2 からだの不安から検査を受けなかった 子宮がんの経験 3 からだの不安のことでせいいっぱいだった 子宮内膜症の経験 妊娠初期の流産の経験 子宮下垂による不安 第10章◆ 胎児の「障害」 1 ばくぜんとした障害への恐れ 「ダウン症だったら堕ろすわけ?」 産むまでずっと不安だった 2 障害児を育てた経験 一人めの子どもに障害があった 育てるために、障害を早期に発見したい 早期治療ができる「小さな障害」 3 決める前にもっと知りたい 障害をもつ子を育てること 第11章◆ 夫や家族との関係と出生前検査 1 妊娠・出産をめぐっての「実感」 超音波検査よりも立ち会い出産の印象が強かった 2 検査をめぐる夫婦間のへだたり 夫は健康な子が生まれるのが当然だと思っている 夫が「受けたら安心だろう」と言った 夫が「もし何かあったらどうする?」と言った 「産むのも産まないのも勇気がいる」 3 夫以外の人たちとの関係 夫婦だけの問題ではなくなる 上の子どもたちのことを考えて検査を受けた 4 夫の思想・信条 「せっかく生まれてくるんだから」と夫が言った 「やるべきではない」と夫が言った 第12章◆ 予定外の妊娠、希望する性別 1 予定外の妊娠と出生前検査 思いがけない妊娠による夫との喧嘩 周りの人たちが中絶を認めてくれたら 産まない理由さがしとしての羊水検査 「産まない」選択の難しさ 2 胎児の性別を知ること 上の子どもと違う性別を期待した理由 性別を知らせない方針の病院 知りたくなかったのにわかってしまった 3 望まない性別による妊娠中絶について 性別による中絶は嫌だ 慣習の違いはあるかもしれない 中絶を避ける意味もあるのかも 周りからの期待があったら自分も 性別による中絶は変えていかなくてはいけない 第13章◆ 出生前検査をめぐる医療者との関係 1 医療者からの説明が不十分だと感じた 医療者の考えを押しつけられた 医療者から検査をすすめられた 2 医療者からの説明で安心した 「超音波検査は毎回しなくてもいいよ」 3 医療に頼りすぎだと思った 「自然なお産がしたい」 「妊娠は病気じゃない」 第14章◆ インタビュー調査のまとめ ◆ 第3部 調査からわかったこと ◆ ◆ ◆ ◆ 資料編◆ アンケート調査への回答 著者プロフィール 柘植あづみ(つげ・あづみ) 1960年生。明治学院大学社会学部社会学科教授。専門は医療人類学。博士(学術)。 おもな著書・論文として、『文化としての生殖技術』(松籟社、1999年)、『遺伝子技術の社会学』(共編著、文化書房博文社、2007年)、「出生前診断は何を提起するのか」(藤村正之編著『福祉化と成熟社会』所収、ミネルヴァ書房、2006年)ほか。 菅野摂子(すがの・せつこ) 1963年生。千葉商科大学、東京家政大学ほか非常勤講師。専門は社会学。博士(社会学)。 おもな著書・論文として、「出生前検査と女性の自己決定」(根村直美編著『ジェンダーで読む健康/セクシュアリティ』所収、明石書店、2003年)、「羊水検査の受検とその決定要因」(『立教社会福祉研究』第26号所収、2007年)ほか。 石黒眞里(いしぐろ・まり) 1959年生。明治学院大学社会学部社会学科社会調査実習室助手。専門社会調査士。 おもな論文として、「胎児の性別を知りたい/知りたくない理由にみる現代日本のジェンダー」(『国際ジェンダー学会誌』第4号所収、2006年)ほか。
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