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『安全なお産、安心なお産−「つながり」で築く、壊れない医療』 河合 蘭著  岩波書店  ¥1,680(税込)   ISBN978-4000220545

◆5人に1人が高齢出産、5人に1人が帝王切開、10人に1人が低出生体重児−日本で産むのはなぜこんなに大変なのか

REBORNスタッフの著書です

今年、私はこの本に仕事時間の大部分を費やし、産科医、新生児科医など57名の出産関係者にインタビューをおこないました。集めたかったものは、より良いものを追い求めていく高度な社会の中、身動きが取れなくなっている現代のお産についての証言です。

多産多死の時代には、赤ちゃんはあまりにもたくさん亡くなり、生まれた子に母親が手をかけて空に返すこともありました。一度その時代に立ち返り、技術開発を振り返った上で現代を見た時、そこにあるのは100分の1,1000分の1の危険性について、医師は医療訴訟を恐れ、妊婦は「おかしな子が生まれる」ことを恐れる萎縮した出産です。その結果として帝王切開は増え、産科医は撤退していきますが、この怯えはどこまで肥大していくのでしょうか。後遺症の重いNICU長期入院児の問題も含め、周産期センターに展開する悩みの深部もご案内します。「安全で不安なお産」を安心なお産に変える手がかりを、共に探りませんか。

(REBRON 河合 蘭)

●読売新聞(2009/11/14),朝日新聞(11/18),東京新聞(12/15),週刊新潮(12/17号)等で紹介していただきました。


目次

│序 章│ 出産が重たくなった時代に
まさか産み場所がなくなるなんて/少子化で脚光を浴びた妊婦たち/そして,産科医と産み場所が減った/奮闘する現場の産科医/「たらいまわし」報道の背景には/産科の問題はつながっている/警鐘は鳴らされていたのに/幸せなお産のために何ができるのか
│第1章│ お産のたどってきた道
命を自然にゆだねていたころ/生まれた命を返す人々/近代化した産婆たちの活躍/産科機器の決定版,超音波登場/子宮が見えるようになったことで/ひとつの転機,「富士見産婦人科病院事件」/医療とコミュニケーション/助産院という産み場所/「自然なお産」が気づかせたもの/「求めるお産」をつくり始めた女性たち
│第2章│ 帝王切開から見える,お産の変化
なぜ,帝王切開は増えたのか/女性たちの身体の変化/高齢出産のリスク/四〇代初産は帝王切開?/帝王切開後の経腟出産/逆子の帝王切開が増えた理由/消えていく医療のアート/経腟分娩を多くの人が恐れるのは/帝王切開を希望する女性たち/帝王切開にともなうリスク/帝王切開の見えない傷
│第3章│ 赤ちゃん救命最前線,NICUで起きていること
三〇人に一人が入るNICU/懐から保育器へ,保育器からNICUへ/技術革新の影で/赤ちゃんの第一関門は呼吸/小さい赤ちゃんの子育て/なぜNICUは満床なのか/NICUを増やすために/ぎりぎりの命と向き合う/救われた命への責任
│第4章│ これからの産み場所
「最後の砦」の新しい条件/病院に必要な経済的支援/つながる医師たち/早産は予防できるか/不妊治療と多胎/産科医の多くも,働き,産む女性/正常出産の場所/産み場所を選ぶ指針,リスクスコア/赤ちゃんの蘇生力を支える輪

本書にお寄せいただいたご感想

「引き込まれるように読みました。著者の精力的な取材とこれまでの蓄積の知識で、卓越した意見・考えが光っています。」
仁志田博司(東京女子医科大学大名誉教授)

「これは現在の産科医療の総まとめなのではないか、と思いました。現場の医療関係者が納得できる一冊です。」
池川 明(池川クリニック院長)

「すばらしい本です。医療技術の発展と人類の存続にかかわる重大な倫理を考えさせられる内容なので多くの人に読んで欲しいと思いました。3人の娘たちがお産するときどうなっているのだろうと切実に思いました。この本が呈示するテーマはみんなで真剣に考えていかないと、これからの世代に負の遺産を残すことになると思います。」
大坪三保子(たらちね助産院院長)

「空に帰っていく子どもたちへの悲しみは生物がいのちを持つものすべてが運命として抱えていくべきものではないかと思います.この本には、日頃私が感じ、考え、思っていることが同じ色彩をもって語られていました。」 亀井智泉(『陽溜まりの病室で――植物状態を生きた陽菜の記録』著者、NPO法人e-MADO病気のこどもの総合ケアネット)

著者プロフィール

河合 蘭(かわい・らん)
REBORN代表、出産ジャーナリスト。1986年より出産関連の執筆活動を開始。3 人の子どもを育てつつ、出産とその前後に現代の女性が直面するさまざまな問題を追う。雑誌、ウェブ、新聞などで出産や不妊についてのルポ、随筆などを多数執筆。著書に『未妊─「産む」と決められない』(NHK生活人新書)『助産師と産む─病院でも,助産院でも,自宅でも』(岩波ブックレット)『お産選びマニュアル─いま、赤ちゃんを産むなら』(農文協)、『「なっとく出産」応援事典』(共著,春秋社)、他訳書多数。
ホームページ:http://www.kawairan.com

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安全なお産、安心なお産 「つながり」で築く、壊れない医療


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