『孕むことば』 鴻巣友季子著 マガジンハウス ¥1,575(税込) ISBN978-4838718702
◆妊娠・子育ての日々は、こんなにもみずみずしい驚きと発見に満ちている!40歳を目前に「子どもをあきらめる覚悟もしなければ」との一大決意で『嵐が丘』の新訳に取り組んだ翻訳家の著者は、斬新な新訳という大仕事を産み出すとともに、なんと!あきらめかけていた妊娠・出産まで経験。子育ての日々を軸に、言葉・文学について縦横無尽に語った、著者の深い知性がにじむ極上のエッセイ集。 妊娠・出産しなければ出くわさなかった“現場感”あふれる言葉として、頻回授乳などに使われる「頻回」(確かに手元の広辞苑には載ってない!)、「完母(完全母乳)」、「月齢」という言葉に敏感に反応するなど、随所に翻訳家ならではの言葉への繊細な感性が光る。とくに言葉を習得していく我が子の描写は豊かでハッとさせられる。 我が子を「他人」と認識しているクレバーな母親の目線が、潔くていい。母娘関係についても鋭く語っており、とくに本文最後の一行は子育て中の母親にはかなりしびれる一文だ。 (REBRON 三好菜穂子) オビから 翻訳は楽しい。 「わたしのお腹から出てきた小さな生きものは、おかしなことばを次々と創り出す閃きの宝庫、ことばの宝島だった。翻訳のヒントまでもが大判小判のごとくざくざく埋まっていた」 『嵐が丘』の新訳を産み出し、妊娠出産、そして子育て。驚きと発見に満ちた三年間を生き生きと描く見事なエッセイ集。 「鴻巣さんの巣は、ことばの胚を孵化させる秘密の巣。翻訳家こそが、ことばの真の精霊だ、と嫉妬してしまう本」(小川洋子) 目次 (1) (2) (3) あとがき 著者プロフィール 東京生まれ。翻訳家、エッセイスト。エミリー・ブロンテ『嵐が丘』(新潮社)の斬新な新訳で大きな話題を呼ぶ。主な翻訳作品に、J・M・クッツェー『恥辱』(ハヤカワepi文庫)、トマス・H・クック『緋色の記憶』(文春文庫)、マーガレット・アトウッド『昏き目の暗殺者』(早川書房)、エリザベス・マクラッケン『ジャイアンツ・ハウス』、ルル・ワン『睡蓮の教室』(ともに新潮クレスト・ブックス)など多数。著書に『翻訳のココロ』(ポプラ社)、『明治大正 翻訳ワンダーランド』(新潮新書)、『やみくも 翻訳家、穴に落ちる』(筑摩書房)がある。 この本が買えるページ amazon.com |
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