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「家族」はどこへいく 沢山美果子・岩上真珠・立山徳子・赤川学・岩本通弥著  青弓社  ¥1,680(税込)   ISBN978-4787232816

◆家族を見つめる社会のまなざしを問う

都市空間の中で家族像が変化してきたことは、背後にある社会のどんな変化を写し出しているのか。捨て子、郊外家族、人口減社会、都市化といったトピックスをもとに、家族の危機というより、「家族」を「崩壊」と「病理」として描き出す現代社会そのものを論じている。首都圏の典型的な郊外型ニュータウンにあるパルテノン多摩が開催した連続講演会の記録というところがまた興味深い。家族をめぐる問題系を読み解く入門書として。

(REBRON 白井千晶)


目次

はじめに 金子 淳

第1章 家族の歴史を読み解く 沢山美果子
1 一九八〇年代から九〇年代へのパラダイム転換  2 近代家族と子育て  3 教育家族としての「家庭」  4 「家庭」という生活世界  5 父親による近代家族批判の試み  6 近世民衆の産むこと/産まないこと  7 出生コントロールの諸相  8 捨て子の諸相  9 近代の捨て子と「母子心中」  10 「子育て」の語の復権

第2章 戦後日本の家族はどう変わったか 岩上真珠
1 戦後日本の家族の話をするにあたって  2 日本の「家」と日本型近代家族  3 家制度の廃止と戦後家族への胎動  4 核家族化  5 女性の社会進出と家族役割の変化  6 女性のライフコースの変化  7 人口変動と家族  8 人生と家族──個人化ということ  9 家族との新たな対話──まとめにかえて

第3章 都市・家族・ネットワーク 立山徳子
1 戦後家族の変化  2 地域社会と家族  3 都市空間のなかの家族  4 郊外家族の誕生  5 都市・家族・ネットワーク  6 都市家族はどこへいくのか?──サービス購入とネットワーク構築

第4章 人口減少社会と家族のゆくえ 赤川 学
1 人口減少社会は不可避  2 少子化はなぜ問題か  3 仕事と子育て(家庭)を両立すれば、子どもは増えるか  4 出生率に影響を与える社会経済的要因  5 人口減少社会の制度設計

第5章 都市化に伴う家族の変容 岩本通弥
1 現代民俗学とその視点  2 現代家族は崩壊したのか──そのリアリティーと現実  3 家族内殺人の物語化とその〈まなざし〉──日韓の比較から  4 都市化と家族の変容──実態の日本的特徴

著者プロフィール

沢山 美果子(サワヤマ ミカコ)1951年、福島県生まれ。順正短期大学幼児教育科教授。専攻は日本教育思想史、女性史。著書に『出産と身体の近世』『性と生殖の近世』(ともに勁草書房)、共編著に『男と女の過去と未来』『「性を考える」わたしたちの講義』、共著に『成熟と老い』(いずれも世界思想社)など。

岩上 真珠(イワカミ マミ) 1949年、広島県生まれ。聖心女子大学文学部教授。専攻は家族社会学、ライフコース論。著書に『ライフコースとジェンダーで読む家族〔改訂版〕』、共著に『未婚化社会の親子関係』(ともに有斐閣)、共編著に『家族革命』(弘文堂)、論文に「「家」婚入者の家族役割経歴──「嫁─姑関係」再考」(『縁組と女性』所収、早稲田大学出版部)など。

立山 徳子(タテヤマ ノリコ) 1963年、東京都生まれ。関東学院大学人間環境学部准教授。専攻は都市社会学、家族社会学、パーソナル・ネットワーク論、郊外社会論。共著に『新編 東京圏の社会地図 1975─90』(東京大学出版会)、『新世紀の家族さがし』(学文社)、論文に「都市度と有配偶女性のパーソナル・ネットワーク」(「人口問題研究」第54巻第3号)など。

赤川 学(アカガワ マナブ) 1967年、石川県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科准教授。専攻は社会問題の社会学、歴史社会学、セクシュアリティ論。著書に『性への自由/性からの自由』(青弓社)、『セクシュアリティの歴史社会学』(勁草書房)、『子どもが減って何が悪いか!』(筑摩書房)、『構築主義を再構築する』(勁草書房)など。

岩本 通弥(イワモト ミチヤ) 1956年、東京都生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。専攻は民俗学。編著に『ふるさと資源化と民俗学』、『都市の暮らしの民俗学』第1巻─第3巻(いずれも吉川弘文館)、『現代民族誌の地平3記憶』(朝倉書店)、『覚悟と生き方』(筑摩書房)など。

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「家族」はどこへいく (青弓社ライブラリー)


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