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『早期教育と脳』 小西行郎著  光文社新書 2004年  735(税込)   ISBN978-4334032623

◆早期教育について冷静に考えてみよう

「英語耳は3歳までに作られる!」「○歳では遅すぎる」等、加熱する一方の早期教育の宣伝文句は、ただでさえ育児不安に陥りがちな母親を脅かしている。

早期教育を薦める側が言う「臨界期」について、小児神経の専門家である著者は、「今の行き過ぎた早期教育は、人間の発達の一つの側面であるに過ぎない“臨界期”を“教育的効果の高い時期”といった狭い範囲で捉えているように感じられる」と指摘。親の関心が高い子どもの英語教育についても、1章を割いて詳しく書かれているので、わが子への英語教育を考えている人には、一読をオススメ。

また、母親だけが負担を負う今の子育ての現実から、幸せな育児のために社会全体がとるべき方策を提言し、長年携わってきた障害児教育の視点から、子どもの発達とどう向き合うかについても書かれている。著者自身が受けた早期教育についてのエピソードも興味深い。

少子化で親が多大な期待を子どもに背負わせがちな風潮に「“やればできる”と信じて疑わないことだけが、子どもにとっての唯一の幸せかどうか」という、著者の問いかけが心に響く。

(REBRON 三好菜穂子)


オビから

普通の育児の中にこそ、脳の成長に必要な刺激がすべてある!
教育すれば、必ず効果があるわけではない!

目次

第1章 早期教育と脳
第2章 乳幼児と英語教育
第3章 育児不安と孤独な母親
第4章 地域社会と子ども集団
第5章 障害児教育から子育てを考える

著者プロフィール

小西行郎
1947年香川県生まれ。京都大学医学部卒業後、福井医科大学助教授、埼玉医科大学教授を経て、現在、東京女子医科大学教授。日本乳児行動発達研究会、日本赤ちゃん学会事務局長。文部科学省の「脳科学と教育」プロジェクトにも携わる。

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早期教育と脳 (光文社新書)


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