『月別の産後一年間子育て事典』 A・アイゼンバーグ ほか著 湘南鎌倉総合病院産婦人科部長 井上 裕美 ほか監訳 メディカ出版 2004年 ¥3,360(税込) ISBN978-4840406819
◆「何でも不安のタネ」の一年間に、よく効きます1ヶ月ごとにまとめられ、これ一冊で何でもわかる育児書。全米の母親に選ばれ続けてきたロングセラー『月別の妊娠できごと事典』の続巻だが、それよりずっと分厚い。カバーしている範囲は誕生から1歳までなのに、なんと745ページ! すごい情報量だし、また、『妊娠‥‥』同様、最新の医療情報をふんだんに織り込みつつ母親心理を徹底フォローしたきめこまやさには目を見張る。「私の子は、もう笑うはずの時期なのに笑わないから異常なのかしら?!」「こんな私なんか親になれないわ」など何でも不安材料になるこの時期の親に、腰を据えて耳を傾けた本。 医師が書いた本ではない。著者はニューヨークでペアレンティングのクラスを開いている方だそうだ。日々悩みながら子育てをした体験を持つ女性が書いた本だということがどの部分からも伝わる。しかもとても会話の上手い、ユーモアたっぷりのスマート・マザー。 時々、親子が赤ちゃんの時から別室で眠るアメリカン育児的な記述は出てくる。「文化の違いがよくわかっておもしろい」の域に入ってしまう一瞬もあるくらい。しかし、そこはさすが。あくまでも個々の家庭で違うそれぞれの子育て方針を尊重する書き方になっていて、どこにも「このやり方にしなさい」という押しつけはない。べったり親子もOK、別室親子もOK。この「押しつけのなさ」が、『妊娠できごと事典』『月別の産後一年間子育て事典』両巻の見事さだ。 アメリカの親たちの素顔も浮かび上がってくるところがある。たとえば仕事への復帰や、大人としてのライフスタイルと育児のかねあいについて記述がくわしい。このあたりは、需要の大きさが日本とまったく違うんだろうと思う。その反面、アメリカの親たちは「優秀な子ども」を作り上げることには、つい必死になってしまうようだ。著者はそれに対しては、最新の発達学にそって「急ぐ育児」をたしなめている。 アメリカ、アメリカと書いてしまったが、決して日本にあわない本ではない。そうではなく、日本の育児書には飽き足らない人におすすめする本、ということだ。 (REBRON 河合 蘭) この本は、湘南鎌倉総合病院の皆さんに混じって、河合も翻訳に参加。 出版社による紹介 産後一年間の疑問点の答えはすべてこの本の中にあります。 出産後の一年間に起こる様々な出来事を月別に解説。乳児の心身の育て方、救急時の対応などの必須項目から、医師に聞くほどではないが心に引っ掛かるような些細な出来事までを網羅している。母親のみならず、家族や周囲の人の役割についても解説。この一冊で子育ての不安を解消! この本が買えるページ amazon.com |
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