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『陽だまりの病室で――植物状態を生きた陽菜の記録』 亀井智泉著  メディカ出版  ¥1,995(税込)   ISBN978-4840404983

◆目覚めない女の子に降り注いだ、家族と医療者の愛

陽菜ちゃんは、出産時の低酸素状態のために脳が働かなくなってしまった女の子だ。4年と29日という短い、しかし両親の愛情を一心に受ける生涯を送った。

母親の手記であるこの本は、私にとっては、まず育児の本だった。聴覚はないと言われた陽菜ちゃんに、歌をうたい、本を読み、たくさん話しかけたという著者がこの本で教えてくれたのは、不思議なことに育児の楽しさだった。そして、読み聞かせが終わるまで診察を待つような、そんな医師がいつもそばにいたことの素晴らしさ。

病院からついに出ることがなかった陽菜ちゃんにとって、病院は家庭だった。長野県立こども病院の中で、家族は医師やスタッフたちと強く結びついてお誕生会や七五三を祝った。

著者・亀井さんはこう書いている「陽菜の死は、医療の敗北ではない。医療の完遂だった」。治らなくても、治らない子に添い遂げ、確かに最上のものだった医療がここにある。

(REBRON 河合 蘭)


オビから

たくさんの勇気をありがとう。

久しぶりに人間賛歌のドラマを目にして、心が洗われる想いで一気に読みました。お母さん、お父さん、医療関係者、そして主役の陽菜ちゃん。この四者のいずれかが不完全であったらば、このドラマはこれほど読者を感動されなかったと思います。この著作を通じて、陽菜ちゃんは長く生き続けるでしょう。 

遠藤周作夫人・遠藤順子

本文より

どんなに小さな灯りでも、
命のランプがともっているかぎり、
そこは闇ではない。

四年と二十九日。なんて愛情に満ちた時間、幸せな一生だったんだろう。陽菜は、私たちに、神様がくれた祝福だ。陽菜の死は、医療の敗北ではない。医療の完遂だった。

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陽だまりの病室で―植物状態を生きた陽菜(ひな)の記録


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