『こどもの医療が危ない』 読売新聞医療情報部著 中公新書クラレ 中央公論新 社 2002年 ¥756(税込) ISBN978-4121500502
◆読売新聞の「医療ルネサンス」がルポした小児医療の現場読売新聞「医療ルネサンス」で、現代の小児医療が抱えるさまざまな問題を追った記事を集めたもの。2000年4月から翌年11月までにシリーズで掲載された。 「救急編」は、子どもを育てていると夜間の急病やけがでは本当にこわい思いをするので切実だった。夜間にいつでも小児科医が待ってくれる町は、日本には少ない。立派な大病院で、救急医療は不慣れな研修医がひとりで担っていたりする−−医療の谷間におちてしまう子どもたち。悲劇の実態で、シリーズは始まる。 救急師と医師の連携の問題などの問題点や、急に悪化する子どもの病気の特徴などがよくわかる。本格的な救急体制を持つモデル病院も紹介される。日本中で採算を理由に病院が救急に消極的になっているのに、検査技師まで三交代制の沖縄県立中部病院は24時間設備がフル稼働しているので黒字だ。 「現場編」では、小児科医の過酷な労働を、密着取材をした記者の目を通じて見ることが出来る。「親と子の心」では、からだだけではなく子どもの全体に対して取り組みたいという医師が現れていることを紹介する。体が傷ついた背後に虐待やいじめの事実があるとわかっても目をそむけるような医療は、やはりこれからの小児医療とはいえないだろう。 新生児の集中治療室NICUや周産期センターについても触れられている。最後の方には、薬の問題。抗生物質や下痢止めが濫用されていることや、その一方では危険な状態を救える大事な薬が認可されず、使いにくくなっている事実を伝える。融通の利かない薬事行政が、子どもを置き去りにしている。 今の日本の小児科の先生たちは、本当に大変だと思う。 子どもを持つ身としては、「なぜ?」という憤りを感じさせる、そしてわが子を守るためには知っておかなければならない事実が伝えられたシリーズだった。 (REBRON 河合蘭) 裏表紙より 貧弱な救急体制、過酷な小児科の勤務などの現場報告を通じて、小児医療の今後のあり方を考える。巻末に発熱時の対処法、救急処置のポイントなど、いざという時に役に立つ情報を掲載。 目次 ?救急編 ?現場編 ?親と子の心 ?その他 付録 いざという時のために この本が買えるページ amazon.com |
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