『ぬくもりの選択 安保助産所出産日記』 浅川知香子著 自費出版 1999年 ¥1500
REBORNコメント 1996年に三重県の安保助産所でお産した著者の出産日記。お産を迎えるまでやお産のエピソード、不安や迷い、感動が等身大で書かれていて、隣のお姉さんのお産の話を聞いているような錯覚を覚える。これから産む人、身近にお産の先輩がいない人にお薦めの本。もちろん、産む人の気持ちが知りたい医療者にも。「人生の始まりと終わり、その大切な瞬間が愛情と人間への尊厳で包まれることは、このうえない幸せであると私には思えるのだ。まさに安保助産所とは、そういう場所である。」文中、御年91歳で現役助産婦である安保ゆきの先生の、産婦の立場に立った助産や看護、きらりと光る一言一言が目を引く。 (REBRON 白井千晶) 入手方法 購入希望の方は著者に直接電話またはファックスにて注文。 ◆著者からのメッセージ 出産後、安保助産所で過ごした7日間のうち、一番感動し印象に残っていることは、私が母乳マッサージを受けている時に安保先生がして下さった"お誕生日"のお話です。(本著86頁に掲載) それは、先生が、以前小学生の子供たちの前で話した時のお話で、先生は、「こう、話したの」と言い、そのとき語った話言葉そのままに私に語りかけてくださいました。"ねえ、あんたたち、お誕生日ってどう思う? お誕生日っていうのはね、あんたたちのお母さんが、死ぬ思いであんたたちのことを産んでくれた日なの。おばあちゃんはね、毎日そういうお母さんたちのお世話をしているの。だから、お誕生日にはね、あめ玉ひとつでもいいから、お母さんのところへ持っていって、お母さん、産んでくれてありがとうって言っておあげなさい。お母さんきっと泣いて喜んでくれるから" 長く苦しい陣痛を経て出産した直後だっただけに、私にはこの話が、心の底にしみいり思わず涙があふれでてきました。そして、私は、自分の親に感謝したことなど、あっただろうかと自問致しました。薄ら寒かった家庭に反抗の限りを尽くし、生まれてきたことへの感謝など無縁だった私の心に、深い杭を打ち込んだのがこの言葉でありました。 翌年、私は自分の誕生日に、小さな花束を持って母のところへ出向きました。母は大変驚き、訳を話すと「安保先生、ええこと言わはるなー」と目を細め、とても喜んでくれました。それは、長い間、いろいろあった、母と私の心の雪解けでありました。 |
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