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『助産師と産む−病院でも、助産院でも、自宅でも』 河合 蘭著  岩波ブックレットNo.704 岩波書店  504円(税込)   ISBN978-4000094047

◆現代にとって「助産師」とはどんな存在?

REBORNスタッフの本です

著者コメント

大学病院が産科医をひきあげて県立病院の産科が閉鎖したら、もう、ちょっとした相談に乗ってくれる人さえいない―― これが、最先端医療は発達しながら足下は固まっていない今の出産システムのはかなさです。 医師だけでは、お産は支え切れません。

かつて新生児の魂をこちらに引き入れる巫女でもあったといわれる産婆は、結婚生活や育児の負担が大きかった女性たちの支え役でした。ドイツ医学を模範とした明治政府は、この女性たちを全国で活躍させて日本の妊産婦死亡率を劇的に引き下げていきました。

ところが第二次世界大戦後、当時助産師がいない国だったアメリカが新しいお手本になると、助産師は看護師と見分けがつかない存在になっていきました。人数も、ピーク時には7万人もいたのに、今は約26000人位しかいません。今、女性たちが不安で一杯の妊娠、出産、子育てをしているのは、助産師がそばにいてくれる人があまりにも少ないためではないでしょうか。

助産師と出会って本質的に納得できる出産をしたい方、助産師についてもっと知りたい方、あるいは助産師のことを産婦さんやまわりの誰かに理解して欲しいと考える助産師ご自身にご利用いただくブックレットです。70ページに助産師の過去、現在、未来をパックしました。

(著者・REBORN 河合 蘭)


目次

はじめに

第一章 助産師の祖先たち
お産婆さんの残照/元祖はトリアゲババ/近代産婆の大活躍/アメリカ化したお産

第二章 お産専門店、助産院の出産
産む力を引き出す人と場/会陰切開のないお産/増えるフリースタイル出産/助産院ケアの科学的有効性/助産師と母乳育児/自宅出産/助産院と医療の連携

第三章 病院での出産と助産師
激変する産科/不安定でわかりにくい助産師の立場/助産師外来からチーム健診へ/脱計画分娩への取り組み/希望により添う院内助産院/病院での母乳ケア/ハイリスク出産に向き合う

第四章 産科医のいない地域で活躍する助産師
動き出した自治体/母子健康センターの役割/日本初のモバイル健診

第五章 助産師は今
内診問題からみえてきたこと/助産師への期待と責任/助産師とともに

著者プロフィール

河合 蘭(かわい・らん)
1959年東京生まれ。REBORN代表。妊娠・出産・育児専門のジャーナリストとして、現代の女性が親になる前後に抱える問題を追う。著書に『未妊−「産む」と決められない』(NHK出版 生活人新書)『お産選びマニュアル―いま、赤ちゃんを産むなら』(農文協)。訳書に『WHO勧告に見る望ましい周産期ケアとその根拠』『お産のイメジェリー−心の出産準備』『出産革命のヒロインたち−アメリカのお産が変わったとき』(共にメディカ出版)
◆公式サイト http://www.kawairan.com

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助産師と産む―病院でも、助産院でも、自宅でも (岩波ブックレット)


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