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『ある近代産婆の物語 --能登・竹島みいの語りより』 西川麦子著  桂書房 1997年  ¥2,940(税込)   ISBN978-4905564683

REBORNコメント

文化人類学の研究者である著者が、明治39年生まれの石川県門前町の助産婦、竹島みいさんのライフヒストリーを、長年に渡って聞き、周辺調査と膨大なる文献や統計などを踏まえてまとめた1冊。情報量の多さ、丹念な研究、分析はみごと。その柔らかな文章で、読み手をひっぱっていく。「近代産婆」は、ひと時代前の助産婦のあり方ではあるけれど、それまでの伝統的な出産を確実に変えていった存在だったのだ。

(REBRON きくちさかえ)


オビから

16歳の少女は飛び出した、奥能登から金沢へ。
産婆学校入学を、父は、なぜか猛反対した。・・・・・・大正15年、能登。
「近代」は、颯爽と現れた。
黒いカバンを持ち、自転車に乗って。

目次

●国家が生み出した専門職「近代産婆」
大正末期、門前町に開業した一人の新産婆、竹島みいのライフヒストリー
●みいと著者が攻めぎ合う不思議な時間、「語り」の生成
●人口政策と戦前・戦後の出産の激変、衛生行政と警察と産婆、被差別者の生業としての旧産婆のこと・・・
●豊富な資料の裏付けによって見えてくる近代という時代

内容

大正期末、門前町で開業した新産婆は出産を大変革。衛生行政と警察、人口政策と戦前、戦後の子産みの激変。みいのライフヒストリーを軸に近代の形成を地域につぶさに見る。被差別者の生業の一つでもあった旧産婆の軸跡にも光。
第26回渋澤賞受賞作品。

著者プロフィール

西川麦子[ニシカワムギコ]
1961年、京都府生まれ。85年、金沢大学文学部卒業。88〜91年、バングラデシュ、ダッカ大学社会科学研究センター客員研究員。93年、大阪大学大学院人間科学研究科後期課程単位取得退学。現在、甲南大学文学部社会学科助教授。財団法人民族学振興会(中根千枝理事長)から、著書「ある近代産婆の物語 ―能登・竹島みいの語りより」によりわが国の民族学研究の振興に貢献したとして、第26回渋澤賞がおくられた。


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