『正しい保健体育』 みうらじゅん著 理論社 ¥1260(税込) ISBN4-652-07805-6
◆抑圧されがちな思春期を正しく涙ぐましく乗り切ろう世の中は、正しいか正しくないかの二極論では治まらないと、多くの人が認識していることだろう。タイトルからして人を食っている。いかにも正しそうな表紙のイラストは、お役所発行の母子手帳のよう。 だが、著者名を見れば、その内容が、一般的お役所的正しさからはほど遠いことは、読むまでもない。言わずと知れた、あのみうらじゅんなのだから。イ ラストレーター、ロッカー、エロスクラップ愛好家、映画監督と、多彩な顔を持ち、マイブーム、とんまつり、ゆるキャラ、いやげものなど、世の中の珍現象に スポットライトを当ててきた人物。本書で扱うのも「ちん」現象。発売から5ヶ月で増刷はすでに6回。ここで紹介しなくても、売れているのである。 ではなぜ、良書専門書の紹介の場であるお産図書館で取り上げたのか。私たちが住んでいる社会では、青少年に対して「セックスは気持ちよくて楽しい。 その延長上にある妊娠・出産・育児も気持ちよくて楽しい。それを経験すると、人生はもっと気持ちよくて楽しい。」ということを、おおっぴらに伝えてはいな い。そのために性的な発育を遂げる過程で生じる抑圧。性をめぐる社会のゆがみ。これを乗り切るための、「ものは考えよう」的なアイデア集。それがこの本の 価値であると踏んだからである。 オトコはつらいよ。しかし、抑圧から妄想は育まれ、妄想から芸術や学問、そして正しい保健体育が生まれるのであった。 (REBORN 宮下真沙美) オビより この本が買えるページ amazon.com |
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