REBORN ARCHIVES

冊子『どうする日本のお産ディスカッション大会記録集』 どうする日本のお産プロジェクト実行委員会編著  2007年  ¥800  

◆お産の環境、なんとかしなくちゃ! 立場を超えてつながろうよ

2006年9ヶ所で開催されたお産環境を考えるディスカッション大会の様子、事前アンケートに寄せられた意見、実行委員一人一人の想いを綴りました。一般の母親・父親、助産師、保健師、医師、さまざまなメンバーが一緒につくった背景と情熱を感じてください。

(REBRON 熊手麻紀子)


■どうする日本のお産ディスカッション大会 参加への呼びかけ
全国で産科・産院施設が閉鎖しています。分娩予約のとれない妊婦さんが増えています。勤務先を失った助産師がたくさんいると思われます。過重労働で苦しんでいる医師・助産師がますます増えていくと予想されます。地域のお産を一手に引き受ける施設では、十分に妊産婦さんのケアができず、困っています。ベット数も増やせません。妊産婦さんが安心して安全に出産するにはどうしたらいいでしょう。医療者がよりよいケアを提供でき、なおかつ人間的にゆとりをもてる暮らしをするにはどうしたらいいでしょう。今、産む場所をもとめて困惑している妊婦さんを、どうしたら救ってあげられるでしょう。地域で、施設間でどのような連携をしたらいいのでしょう。みんなで現状を語り合い、今、実際に現場はどうなっているのかを知り、これからどうしていったらいいのかを考えませんか? (2006年4月)

■“ディスカッション”をしたわけ
2006年、「出産難民」「産科医療の崩壊」という言葉が駆け巡った。地方の話ではなく都会でも産科が相次いで閉鎖し、緊急搬送受け入れ先も満床状態。どこの病院も分娩予約は早い者勝ちと言われはじめました。助産師が頼れる医師、医師が頼れる助産師が足りない。なんともやるせない状況が各地から聞こえてきます。「緊急事態だ!いったい何をどうしたらいいんだろう?」という思いをそのまま、「どうする?日本のお産ディスカッション大会」に込めリレー開催をしました。
ディスカッション大会は、9ヶ所で約1000人の参加がありました。
2006年5/14 横浜、6/4 仙台、6/25埼玉、7/16 京都、8/27札幌、10/1長野、11/11高知、12/17東京
共通テーマ 「女性と赤ちゃんが安全で安心してお産するためには、誰が何をしますか?」
主催:どうする日本のお産プロジェクト&各地実行委員会(プロジェクトは2006年12月で解散しています)

産科閉鎖の問題は、産科医を増やせば解決するような単純な話ではありません。改善していくためには、教育、労働条件、助産師の力、医師と助産師の関係、産む人の意識や心構え、健康教育などさまざまなことが見直される必要があります。これから生まれ来るいのちをどう迎え入れるかは、今生きている人たちの責任です。赤ちゃんが心地よく元気に生まれてくるように、産む人も介助する人も、できるだけ快適でいられるように、それにはどうしたらいいのかを、みんな一人一人が急いで考える必要があります。
まずは、医師・助産師・産む人の苦悩と主張に耳を傾けてみることから。そして、「こうだったらいいな」と社会に要望し続けることと、自分の足元からできることを明日から始めること、その両輪がくるくると回りだすことを意図して、ディスカッションの場を作っていきました。
9ヶ所で開催してみた結果、立場やキャリアを超えて産科医療問題を深く討論することは可能であり互いの気持ちをあたためあえるのだと確信しました。プロジェクトは解散しましたが、今後、日本各地で同じように、語り合いの場が開かれることを願っています。(2007年2月)

■明るいお産環境をつくる 十の心得
9ヶ所を巡業する最中で、さまざまな苦悩や願いや人情、絶望も希望も見聞きすることができました。最後に、各地実行委員と交わされた言葉の数々からにじみ出した想いを10項目にまとめました。お産の環境をよりよくしていくためには、さまざまな立場の人がつながりあい、継続的な行動が必要です。この「明るいお産環境をつくる十の心得」を、掲示板や手帳などに添えていただけたら幸いです。

≪明るいお産環境をつくる 十の心得≫

●その1 会って話し合う場を持とう
直接会うだけでも、ものごとの進み方が違うはず。話し合うためのきっかけを創ろう。
●その2 自分の意見をちゃんと言おう
誰かが言ってくれるのを待つのはもうやめよう。あなたの考えをあなたの言葉で伝えてみよう。
●その3 思ったら行動しよう。自分の行動に責任を持とう
ほんの些細なことでもいい。自分にできることをまず始めてみよう。
自分の意志で決めて行動すれば、自然と責任感が湧いてくるはず。
●その4 壁を取り払おう
世代・性別・職種の壁を越えて歩み寄ろう。
互いの立場を尊重しよう。互いの力を発揮しあい助け合おう。
●その5 あらゆる人の意見を取り入れよう。
立場が変われば見方が違うもの。耳を傾け続けたら問題解決の糸口が見えてくるはず。
●その6 困ったときは助け合おう
自分の力を信じてできるところまで頑張ろう。
困ったときは、一人で抱えずに手や知恵をかりよう。助けを求められたらできるだけ手を貸そう。
●その7 育て合おう
子ども達・育てる人・助ける人を、家族・地域・社会で育てあおう。
教え伝えることが、自分の学びにもなるはず。
●その8 質を高めよう
感性・心・技・知識を高める学びと交流をしよう。
学んだことを積み重ね、共有しよう。
●その9 大事なことを伝えよう
本当に大事なことってなかなか伝えにくいもの。
あなたが大事だと思ったことは勇気を持って伝えていこう。
●その10 笑おう
笑いは活力の源です。みんなで一緒に笑おう歌おう。

どうする日本のお産プロジェクト 2006年12月17日


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