『医療が病いをつくる 免疫からの警鐘』 安保徹著 岩波書店 2001年 ¥ 1,890(税込) ISBN978-4000221139
REBORNコメント タイトルを見て、「またこの手の本か」と思った同業者(医師)も多かったという。だが、ありがちな思想的医療批判ではないと医師、新聞書評などで話題になり、ベストセラーになっている本。 著 者は第一線の免疫学者である。東北大学医学部を卒業、現在、新潟大学大学院医歯学総合研究科教授(国際感染医学講座免疫学・医動物学分野)。ヒトNK細胞 抗原CD57に対するモノクローナル抗体を作製、胸腺外分化T細胞の存在を発見、白血球の自律神経支配のメカニズムを初めて解明、マラリア感染の防御が胸 腺外分化T細胞によって行なわれることを突き止める。100年来の通説、胃潰瘍=胃酸説を覆す顆粒球説を米国の専門誌Digestive Diseases and Sciencesに発表し、大きな衝撃を与える、というから、説得力がある。 著 者が唱える「心とからだをつなぐ免疫学」とは、白血球の自律神経支配を媒介にした、自律神経系−内分泌系−免疫系の連関の説明である。免疫やストレスを無 視した医療が、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、胃潰瘍、糖尿病、癌、腰痛、パーキンソン病、頭痛、潰瘍性大腸炎などを「改悪」しているという。平易な説明 だが化学・生物学・疫学用語も多く、素人には読み応えがあるが、読む価値あり。 (白井千晶・REBORN)
目次 第1章 心とからだをつなぐもの 第2章 なぜ病気になるのか 第3章 治療医学にある問題点 第4章 生体反応の誤解が拡がるきっかけ 第5章 外界刺激と生体反応 第6章 生体反応と破綻 第7章 病気をさらに知る 第8章 私の提唱する免疫学
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